組織は、自律する前に、一時的にカオスを経験する。
実名を出すことは控えますが、生徒が主体となり校則や宿題などを廃止し、自由な校風をつくったことで注目された公立中学校が、今揺れに揺れています。
同校に新しく就任した校長が、同校の様子を「崩壊」「無秩序」と猛批判する書籍を出し、それに対し、元校長が怒りの反論を繰り広げているのです。
元校長の反論の趣旨は次の通りです。
思考停止のまま教員の指示に従うのではなく、教員に対してもちゃんと自分の意見を述べる生徒を、従来の価値観を引きずる大人が見るとカオスに映るのでは?
実は、11月に同校からキャリア教育の依頼を受けており、現場を見れば真相が観えると思いますが、今日の記事では、現時点での僕の見立てを共有したいと思います。
元校長の教育方針は非常に素晴らしいもので、僕は大いに賛同しているのですが、気になることもあります。
それは、文化を根本から変容する改革に、6年の任期では短すぎたのではないか?ということです。
企業でさえ文化の変容には7年から10年はかかります。
企業「でさえ」というのは、企業は人間の入れ替えが少ないことを意味します。
対し、学校は教員も生徒も数年で総入れ替えします。教育しても次から次へと従来の価値観を持った人間が入ってくるので、6年では根が張れないと思うのです。
根が張れないうちに求心力となる人物がいなくなると文化は醸成されません。
だから、代を超えたタイムスパンで計画する必要があると考えるのです。
「自分の代はここまでやって次の代に引き継ぐ」と。
そのためには、文化が醸成されるプロセスを知ることが欠かせません。
プロセスを知れば、長いタイムスパンの中での今の位置づけが明らかになるので、はやる気持ちを抑えることができるのです。
では、自律的な文化が醸成されるプロセスとはどんなものでしょうか。
それは、「ノモス」→「カオス」→「コスモス」の三段階です。
ノモスとは、ルールや習慣などによってガチガチに固められた状態を指し、組織でいえば「独裁」と「村社会」の2種類があります。
この2つは、一見するとまったく別の状態に見えますが、自由に発言ができないという意味では同じ様態なのです。
カオスは説明不要ですよね。
コスモスとは、1人1人が独立しながらも、全体として美しく秩序だって調和している状態を指します。
例えば、音楽ではJAZZのジャムセッションといえば想像つくでしょうか。
指揮者がいなく、各々が自由に即興で演奏しているが、全体が調和している状態です。

組織がノモスになっていたら、まずは自由に発言できる空気を醸成することをマイルストーンにすると良いと思います。
ノモスから脱すると、一時的に混乱するかもしれませんが、そこに共通の思いやビジョン、そしてメンバー同士の仲間意識が生まれると、徐々にコスモスへと進んでいきます。
このようにノモス・カオス・コスモスの視点で組織の進化を観ると、はやる気持ちを少しだけけ抑えることができると思います。
こうしたプロセスを、適度な新陳代謝(人の入れ替え)を伴って進めて行くとことで文化が根づきます。
組織を変える時、私たちはつい「早くコスモスにしたい」と思ってしまいます。
しかし、ノモスからコスモスへ一足飛びに移行することはできず、カオスを通過する必要があります。
もしかすると、件の中学校は、カオスからコスモスに移行する過程にいるのかもしれません。
だから「失敗した」と判断するのではなく、プロセスのどこにいるのかを問い、正しい手を打つことが大切だと考えています。
ということで、11月のキャリア教育が楽しみです。
※「記事が面白かった」という方は、是非「読者登録」を!
読者優先セミナーや無料相談など、登録者限定の秘匿情報が届きます。



