「他社から学ぶ」で失敗する人が陥る2つの落とし穴
成功者をベンチマークする際には、つい「何をやったのか?」だけに注目してしまいますが、その背景にある「文脈」を捉えることが大切です。
それと「後付けを疑う」という視点を持つことも。
まずは「文脈」について分かりやすい例を紹介しますね。
今は、売り込みを嫌う生活者が増えており、ビジネス界のトレンドは「売り込まずに売る」が主流です。
しかし、とある居酒屋のクリスマス恒例イベント「ロマンチックをぶっ飛ばせ」ではガンガン売り込みをしています。

なぜでしょうか?
恋人がいなくて、このイベントに参加したいと思っている人の気持ちになってみれば、売り込みの必要性が分かりますよね。
他にも、「任せることが大切」と言われれば、「本当にその通り」と無条件に受け入れてしまいますが、それも危険です。
任せるためには、部下に実力が備わっていること。そして、任せた仕事の意義=その仕事が何に繋がるのか=ビジョンが理解されているといった要件が欠かせません。
僕は、自律型組織の提唱者ですが、常々「指示ゼロ経営はトップダウンよりも”シ”」と言っています。本当は「指示ゼロ経営こそ」と言いたいところですが、そうではありません。
創業期や危機に直面した時には、強力なトップダウンで運営した方が上手くいきます。
指示ゼロ経営は、物理的にも能力的にも、リーダー1人の力では立ち行かなくなったフェーズで有効なのであり、文脈が違う企業には役に立たないのです。
続いて「後付け」について。
これはコンサルタントやメディアの責任ですが、世の中には後付けの情報であふれています。
実は、僕が経営してきた新聞店は、何度も後付けでメディアに紹介されてきました。
「新聞店の、地域密着の利点を活かし新業態へ転換」と題し分析をしてくれるのですが、その趣旨が、新聞店独自のリソース…例えば、配達網や、自社発行の手づくり新聞などのノウハウを地域づくりに転用したというものです。
よくできた分析ですし、その通りなのですが、所詮は後付けです。というのも、最初からそんな構想があったわけではないからです。
新業態の開発プロセスの正直なところは以下の通りです。
1、新聞購読者が減り、どんなに営業力を磨いても成果が出なかった。
2、何をやったら良いか分からないが、客商売は顧客に信頼されてなんぼという事だけは知っていたので、全社を挙げてお客様に喜ばれる「モア心地よさ運動」を展開。例えば、独居老人宅に配達をする際に、前日の郵便物の有無をチェックし安否確認をするサービスなどを実施。
3、お客様との信頼関係が醸成されるにつれ、様々な生活相談を受けるようになる。
4、それらは個々の生活者の課題というよりも地域の課題だということが分かる。
5、指示ゼロ経営のノウハウを活かし、地域の人たちが自律的に地域課題を解決する場をつくるというアイデアが出て、試しにやってみた。
6、結局、このサービスが行政に認められ地域づくりの指定管理を受ける。
7、その延長で第三セクターのホテルの運営も任せられるようになる。
要するに、偶然の出来事を吸収しながら前進したということですが、実は、正解がない時代では、このようなプロセスで事業を発展させる企業は多いのです。
世に出回っている情報の多くは「答え合わせ」に過ぎません。
成功事例をベンチマークする際には、自社の文脈を考慮し「正解なき道」を探ることが大切だと考えています。
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