数値で意思決定する経営が破綻する原理的な理由

経営において数値を診ることは大切ですが、数値で意思決定をすることは危険です。
社名は出しませんが、パッケージを変えただけのプライベートブランド商品ばかりが並ぶ店がありますが、自分たちの利益しか考えていないことが透けて見えますよね。

現代の消費者は目が肥えています。利益率の高い商品をオススメ商品として前面に出す店よりも、お客様に喜ばれることを第一義とするお店から買いたいと思うのではないでしょうか。

数値で意志決定をすると、顧客と企業とで「目的の乖離」が起きます。
顧客は、常に自分の成功、幸福のために商品・サービスを購入します。
成功、幸福が「目的」で商品は「手段」です。
にも関わらず、企業側が、顧客にとって手段(商品)を多く売ることを目的にしてしまうと利害がズレて商売が迷走を始めます。
「ボタンの掛け違い」は一度起きると、その後、どれだけ進んでもズレたままですので、早くズレをチェックし修正することが大切です。

こう言うと、「利益を目的にしても、その後で真面目に顧客のことを考えれば良い」と言う人がいますが、そんなに甘いものではありません。
なぜならば、顧客に支持されるまでには時間がかかるため、待てずに、短絡的な手段に鞍替えしてしまうからです。
売り物を磨かずに、見せかけの手練手管に逃げる企業は、あなたの周りにもあるのではないでしょうか。

対し、顧客の成功、幸福を目的にすれば「副産物」として顧客からの支持を得て、安定した繁栄が実現します。

今の消費者は企業の意図を見抜く目を持っていますし、自分の声をネット上に表明することができる、ある意味、とても怖い存在なのです。

顧客を中心に捉え商売を繁栄させた好例といえば「越中売薬」です。
最初に一通りの薬を預けておき、次に訪問した時に、使用した分の代金だけをいただくサービスです。
このサービスを支えるのは「先義後利」という、「義」を優先することで後から「利」が生まれるという思想であり、収益安定を目的として開発されたサービスではないのです。

以前に、経営をクルマの運転で教えてくれた経営者がいました。
その方との会話は「車を運転する時に、どこを見ていますか?」という問いから始まりました。

カーナビばかり見て運転するのは、自分で考えずに教科書に頼る経営。
バックミラーばかり見るのは…過ぎ去った過去の栄光ばかり見ている経営。
サイドミラーばかり見ているのは、ライバルに意識が奪われている状態。
そして、速度メーターなどの計器ばかり見ているのは、経営数字ばかり見て経営している企業。

こんな運転をしていたら、同乗者は酔うし、社会に迷惑をかけることになりますよね。

その方は「私は、しっかりハンドルを握り、前を見て、より良い運転をしたい」と言いました。
より良い運転とは、自社の商品・サービスを磨き、顧客の幸福に貢献する経営のメタファーです。

今、社会にはモノが溢れかえり「特段、欲しいものがない」と答える生活者が増えています。
そんな世の中で、自社都合で開発した商品が受け入れられるはずがありません。

数値は、経営の通知表として分析することは大切ですが、意思決定の動機にすることは危険です。
何が目的で、何が手段か?時々、問い直すことが大切ではないでしょうか。
 
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