社長のビジョンを「我々のビジョン」にアップデートする

4月に経営計画発表会を予定している企業が多いと思いますが、今年の発表会は、いつもと違った企画を盛り込んでみてはいかがでしょうか。
その企画とは、「社員各自の視点で観たビジョンの共有」というものです。

同じものを観ていても、人によってその捉え方は違うもの。
1人1人が想像する、来期の計画が成就した「その日」のイメージを共有することで、ビジョンに立体感が生まれ、実現意欲が高まります。

複数の視点によりイメージを立体化させる手法は、映画でも使われます。
最近では、是枝裕和監督の「怪物」がそうでしたね。
ある小学校で起きたイジメが疑われる出来事をきっかけに、母、教師、子どもたち、それぞれの視点を重ねながら展開される物語です。
それぞれの視点が重なるうちに、出来事の全体像が立体的に浮かび上がってくる、そのプロセスに魅力があります。

経営計画書には社長の価値観が色濃く反映されます。
金銭的な成功に価値を見出す社長であれば、その視点から成功イメージを描くでしょう。
しかし人により価値観は違いますので、社員は、社長の成功イメージを、自分のフィルターを通しオリジナルの像に転換する必要があります。
決して、まったく違う像になるわけではなく、違った角度から観るという感じです。

実際にやってみると分かりますが、「顧客に喜ばれる悦び」「仲間と達成した充実感」「仲間と協働する愉しさ」「家族に褒められる誇り」「戦略的に仕事を進める快感」…などなど、同じ目標を達成しても、人により多様なビジョンを持つんですよね。
1人1人の視点を統合すると、ビジョンが立体的になるとともに、社長のビジョンが「我々のビジョン」に昇華するのです。

これが僕が提案するビジョンデザインの手法なのですが、効果をより高めるテクニックも紹介しますね。
それは、登場人物のセリフを書き出すというものです。

「学習する組織」という概念を提唱するオットー・シャーマーという研究者は、関係性の深さを4段階で表し、その3段階目に「相手の感情を、相手が口にする言葉で表現できるほど気持ちを理解している」と説いています。
誰が、どんな喜びの言葉を口にしているか?…それをリアルにイメージできれば、実現可能性は飛躍的に高まりますし、ビジョンのイメージも鮮明になります。

人は、物事に参画した分だけ、それを自分事にします。
社長が一方的に語るビジョンよりも「我々のビジョン」の方が実現性が高まるのは当然のことです。

経営計画発表会を、単なる発表の場で終わらせるのではなく、立体的な未来を共に描く場へ。
その一歩が、組織の一体感と実現力を大きく高めていくのではないでしょうか。
 
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