社員の「トリセツ」をつくる。

今、経営支援で関わっている企業で「社員のトリセツ」なるものを作ろうと画策しています。
経営者を含む、全員のトリセツ…生年月日や趣味といったことから、思考の特性や能力特性までをまとめたものです。

これを作る意図は、互いの違いを理解することでチームワークの向上を図ることです。
チームワークはパズルと同じようなもので、1つ1つ形の違うピースが互いを補い合い全体をつくります。

チームワークが悪い組織は、違いを理解せず、相手に違う形になることを要求します。これでは組織の総力が上がらないばかりか、1人1人の力も封印されてしまいます。
人は、自分以外のものになろうとすると、本来持っている力を発揮することができなくなります。

トリセツは、僕が経営してきた新聞店でも作りました。
毎年、年末に「日本一のスタッフガイドブック」という名で、全社員のトリセツを作って社内で共有してきました。

ちゃんと製本する必要はありませんが、簡単なもので良いので作ってみてはいかがでしょうか。

トリセツには次の5つの項目を盛り込みます。

1、生年月日や趣味などのプライベートな情報
2、入社年月日、部署などの基本情報
3、大切にしている価値観と、それが醸成された原体験
4、夢
5、得意なこと、苦手なこと(さらに端的いうと「やりたい仕事」「やりたくない仕事」)
6、キャリア志向と、志向が醸成された原体験

折りたたんで手帳サイズにします。

今日の記事では6の「キャリア志向」を掘り下げて考えたいと思います。

キャリア志向は、組織開発の大家である、エドガー・シャインの「キャリアアンカー」を参考にします。
キャリアアンカーとは「仕事において何を最も大切にするか」という価値観を分類したものです。
「他者に奉仕がしたい」「斬新なことに挑戦したい」「安定を望む」など、8つの価値観があります。
無料診断のウェブサイトがありますので、是非診断してみてください。

価値観は、何もないところに降ってくるものではありません。過去の経験・体験の中から醸成されるものです。
そこで、キャリアアンカーで診断された価値観がどのような経緯で醸成されたかを考えます。

例えば、僕のキャリアアンカーは「自律・独立」です。
他者の指示や制約から解放され、自分自身の方法で仕事を進めることに強い欲求を持つ傾向があります。
まさに指示ゼロ経営的なのですが、この価値観の醸成に影響を与えたのは祖母です。

僕は子どもの頃から集団行動が苦手でした。
画一的に管理されることが嫌いで、遠足も運動会も、画一的に同じことをさせられる行事は苦手でした。
そんな僕を見て、大人たちは心配するのですが、心配されるたびに「自分はどこかおかしいのでは?」と自信をなくしていきました。

それを救ってくれたのが祖母でした。
僕が小学生の時、一緒にお風呂に入っている時に「背中を流してくれ」と祖母が言いました。その時に、ポツリとひとり言のようにこう言いました。

「お前は別のものにならなくていい。お前は、お前がなるものになれるから」

祖母は、僕に「自分オリジナルのトリセツがある」と教えてくれたのです。
これが、今の僕に繋がる原体験だったのだと思います。

自律・独立のキャリアアンカーを持つ僕は、自然と自社を自律型組織にしましたし、いつしか自律型組織を提唱する仕事がしたいという夢を持つようになり、今に至るというわけです。

このように、価値観が醸成された過去の経緯と未来を紡ぐことで、メンバーのトリセツを作ることができます。
大切なことは、トリセツをどのように使うかということですが、それはまた別の機会に書きたいと思います。
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