「2日目のカレー」のような経営を目指す

「2日目のカレーのような経営を目指したいね」という話を、ある経営者としたことがあります。

「2日目」というところがポイントです。
できたてのカレーは、具材やソースなど、それぞれの「役者」の個性は際立っているのですが、調和と一体感がありません。

一方、3日目以降になると、具材がソースに溶けすぎて具材の個性がぼんやりとしてしまいます。
具材の個性と成熟度のハーモニーという意味では、2日目のカレーがベストというわけです。

さて、具材を人材、ソースを組織文化と捉えると、2日目のカレーのような経営がいかに優れているかが分かります。
社員の個性が文化に抑圧された村社会でもなく、個性が際立つが調和のないカオス状態でもない、個が鮮明でありながら全体が調和した状態です。
この状態をギリシャ神話では「コスモス」と呼びます。

2日目のカレーのような「コスモス状態」はどのような調理法で実現するのでしょうか?
そのヒントもまた2日目のカレーができる過程にあります。
コツは「熱」と「切磋琢磨」です。

翌日、家族から「またカレー?」と愚痴られながらも、「今日が一番美味しいんだよ」と説得して、加熱してかき混ぜていると、具と具とがぶつかったり擦れたりしながらソースに溶け込みます。

2日目のカレーが美味しい理由を整理すると次のような要件になります。

1、多様な具材がある。
2、熱い鍋の中で切磋琢磨がある。
3、具材の個性がソースに溶け込むが、具材の個性が鮮明である。

これをそのまま経営に当てはめると…

1’ 1人1人の個性が発揮された多様性豊かな集団である。
2’ 闊達で熱い議論が行われている。
3’ 個性を活かしたプロジェクトマネジメントの仕組みがある。

という状態と言えます。

具体的な実務に落とし込むと…

1’’ 採用時点で多様な人材を確保する。
2’’ リーダーや一部の人の独善ではなく、開かれた言論空間を確保する。
3’’ 様々な個性が参画し計画立案を行う。

1’’と2’’は、主にリーダーや経営層の課題になりますが、3’’は全員の認識が必要です。
この件に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
→「桃太郎から学ぶ組織づくりの成功法則」

先ほど、「家族から『またカレー?』と愚痴られながらも」と書きましたが、経営において、愚痴られてもリーダーがやるべきことは、3’’の「文化は全員がつくる」という認識形成だと思います。

自分が支配されていると確信している文化を作っているのは、ほかでもない、そこに関わる1人1人なのです。

というわけで、今日のブログはメンバーみんなで共有していただき、朝礼や勉強会の議題にしてください。
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