「率先垂範」ではもう人は動かない…リーダーシップを刷新する2つの視点
いい加減、日本人が考える「リーダーシップ」をアップデートする必要があると考えています。
米国の経済誌「フォーチュン」が格付けする「フォーチュン500社」では、組織を牽引する要因が「ビジョン」なのに対し、日本企業では「率先垂範」であることが分かっています。
率先垂範と言えば、山本五十六の言葉が有名ですね。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
確かに金言なのですが、時代が変われば無条件に受け入れることは危険だと思います。
というもの、率先垂範は、やるべきことが決まっている時に限定したリーダーシップだからです。
近代ではアメリカが「これが豊かな生活」というビジョンを示してくれました。そうなると、やることは「段取り」と「タスク管理」に絞られますので、率先垂範型のリーダーシップが有効だったわけです。
しかし、ひと通りの豊かさが実現し、お手本がいない今、求められるのは「ビジョンデザイン能力」ということになります。
そういう意味で、フォーチュンの調査は非常に示唆に富んでいると言えるでしょう。
ところが、私たちは義務教育の過程で「解く」訓練は十分に受けていますが「創造」の訓練はオマケ程度にしか受けていません。
学校教育は五教科が中心で、美術や音楽などは「副教科」と言われオマケ扱いでしたからね。
ビジョンなきところに率先垂範はありません。リーダーの率先垂範に依存する人たちは迷走するだけになります。
これからは「リーダーがやるからやる」から「ビジョンを実現したいからやる」という、組織の駆動原理の大転換が求められると考えています。
ビジョンは文字通り「映像」であり、リアリティあふれる動きが必要です。
「業界ナンバーワンシェアの実現」「自社ビル建築」といったものをビジョンに掲げる企業がありますが、それらはビジョンではなく目標です。さらに言えば、経営者のエゴです。
目を閉じ未来を想像した時に、自分や顧客、家族、仲間などの「人」の表情や声や仕草がありありと浮かんでくるものでないとビジョンにはなり得ません。
もう1つ、リーダーシップに関して付け加えると、「リーダーシップはリーダーの能力」という誤解も根強いと感じています。
1967年に、IBMが「組織風土とメンバーの行動」を調査するために、世界中の営業所のリーダーと部下の関係性を調べ上げました。
その結果、リーダーが同じでも、メンバーが変わればリーダーシップが変わることが明らかになりました。
例えば、リーダーがビジョンを示しても、それに賛同するフォロワーがいなければリーダーシップは醸成されません。
優れた組織を分析すると、メンバー1人1人が、闊達な組織づくりのために、何らかの役割を果たしていることが分かります。
リーダーのビジョンの実現プランを考えたり、仲間に「一緒にやろう」と誘ったり、進捗管理を行ったりと、異なる能力が自律的に集結するのです。
「誰か」ではなく「それぞれ」がリーダーシップの各要件を果たしているということ。
そういう意味では、リーダーシップの訓練はリーダーに限定せずに、みんなで学び取り組むことが欠かせないということになります。
リーダーシップは、組織全体で育てていく文化です。
誰かが導くのを待つのではなく、自らの想像力と行動力で未来をつくる。
その第一歩として、今日の記事をメンバー全員と共有し、「それぞれ」何ができるか考えてみてはいかがでしょうか。
※リーダーシップを組織的に育てていくために。
ビジョンデザインとリーダーシップに関しては「指示ゼロ経営マスタープログラム」で詳しく扱います。
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