上司が気を利かせてご膳立するから部下が育たない

「仕事の主」という言葉があります。僕が好きな言葉です。
業務にコントロールされるのではなく自ら仕事をコントロールする、そんな意味合いです。
自ら考え判断し、行動する、その結果を自らチェックし次に活かす…それがコントロールするということです。
でも、これを邪魔するものがあります。
社長、上司のお膳立て、先回りです。
問題意識が高いからそうなると思いますが、それは部下の自立、成長を阻害すると思います。

上司のお膳立ては部下の成長を阻害する

自立、成長を阻害するわかりやすい事例が親の過保護です。
親はつい子どもが失敗しないようにお膳立てしてしまうものです。朝から「ハンカチ持った?」「宿題はやったの?」と。
我が子を思うゆえだと思いますが、ためになりません。これをやっていたらいつまでも自立しませんよね。
自分でやってもらうのが一番です。そして失敗をすれば良い。忘れ物をして先生に怒られればよいのです。
自らの行動による結果を自分で受け入れることで自立していくから。

社長、上司も会社のために、部下のためにと思い同じことをしてしまいます。

「自ら考え判断し」→「行動する」→「その結果を自らチェックし次に活かす」
PDSサイクル(Plan Do See)は全部自分でやって、あるいは自分たちでやって一人前です。
一人前は一人前のサイクルを任せないと育ちません。
PとSは上司が考えDだけ部下にやらせるのが要らぬお膳立てです。

上司がお膳立てした方が仕事は早く進みますが、仕事(D)の質と部下の長期的な成長を考えると決して得なことではないと考えています。

僕が主宰する夢新聞は子どもたちに一人前を体験してもらうプログラムです。
クラスに対し「クラス全員、1人残らず夢新聞を完成させる」というミッションを与えます。やり方はすべてお任せしますが講師は何を聞かれても答えません。
まさに無茶ぶりです。
しかもP、プランはありません。いきなりスタートです。やりながら状況を見て全体を最適化していくのです、子どもたちだけで。

講師は何もしませんがすごく疲れます。本当にグッタリします。
その理由は「自分が担当したクラスはミッションを達成させてあげたい」という思いがあるからです。でも、信頼して見守ることしかできません。

講師を経験すると会社の組織開発が上手になるのです。
お膳立てせずに自分たちの行動の結果から学び成長するプロセスが分かるからです。

PDSよりももっと変化に対応するサイクルを回す

夢新聞では講師が課題を伝えたら即スタートです。
作戦を練る時間もありません。ちょっと乱暴だと思われるかもしれませんが、これが現実社会、特に今の時代を反映していると考えています。
変化が激しく早いから「行動しながらシナリオをデザインする」そんな力が求められると考えるのです。
そうしないと手遅れになってしまいますからね。
もう、時代は社長、上司のお膳立てを許さないのだと思います。

そんな時代に社員、チームに求められる力はPDSサイクルではないかもしれません。

「状況を見て→すぐに方向性を決め→まずやって→状況を判断し後で直す」

こんなプロセスだと考えます。
しかし、これを目の前で展開するのを見る上司はハラハラですよね。
社員数が少ない場合は上司もプレイヤーとして中に入るかもしれませんが、それでも全部を1人で仕切れないからハラハラすると思います。
社長業は修行だと思います。

上司は信頼して見守ることですが、それ以外に何もできないのでしょうか?
実は、2つだけできることがあります。
1つは状況を伝えることです。伝えるだけで判断はしません。それはお膳立てだからです。
お膳立てをすると部下は自分で考えなくなってしまいますからね。
状況を伝えるというのは「起きた事実を客観的に伝える」ことを意味します。
そこに自分の評価は加えないことです。

ただ、これも上司が伝えなくても状況の変化が一目瞭然となる仕組みがある方が理想だと思います。
しかし、現実的にはすべてを見える化することはできませんので、全体を俯瞰できる社長、上司がその役割を担うことだと考えます。

もう1つの役割は感謝だと思います。
評価は必要ありません。なぜならば自分たちで考え判断し行動したことで起こる結果こそが最も客観的な評価だからです。
そしてその結果を引き起こした自分たちのチームワークなどを自分たちで分析すれば上司の評価は必要ありません。

お膳立て、評価をしない…残るは感謝の気持ちを伝えることだと思うのです。

変化が激しく何が起きるか分からない時代では、社員を仕事の主にすることが社長、上司の大きな役割だと考えます。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

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米澤 晋也

米澤 晋也

1971年長野県生まれ。有限会社共和堂代表取締役
指示・命令をしなくても自ら考え行動する社員を育て、社長が掲げるビジョンに向かい1つになる組織を創る方法論「指示ゼロ経営」の実践組織Tao&Knowledgeを主宰する。
1人1人が自由に行動し、創造性を発揮しながらも調和する、Jazzのジャムセッションのような組織です。
特に2代目、3代目経営者が自分の組織を創るための実務を得意としています。

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