「褒めて伸ばす」で人材育成に失敗するケース
僕は「褒めて伸ばす」ということに消極的なのですが、そう思うようになったキッカケは、当時、小学生だった息子が、褒めなくてもゲームを熱心にやっているのを見たからです。
他にも理由があります。
1つは、部下が褒められることに慣れてしまうということ。そして、部下の判断が「褒められるかどうか?」になり、自律性を失うことを経験で学んだからです。
人がモチベーションと行動を持続するためには、「何かをやったら、何かが変わった」という実感…つまり「行動に対するフィードバック」が欠かせません。
指示・命令で動く場合、依頼主に認められたい(あるいは怒られたくない)という動機が働きますので、当然、依頼主からのフィードバック=褒めるが必要になります。
しかし、すでに述べたように、そこには数々の弊害があります。
「十分に育ったら、褒めるのを止めればよいのでは?」という方もいますが、まったくの逆効果になるでしょう。
心理学に、報酬の危険性を示唆する「アンダーマイニング効果」という知見があります。
例えば、近所の子どもたちが空き地で遊んで困るという問題があったとします。土地所有者が子どもたちを注意しても改善しません。
そこで、空き地に入らなかった場合に、ご褒美としてお小遣いを出すことにしました。
しかし、この方法は、お小遣いを出し続けなければなりませんし、やがてより多額の報酬を要求ようになるかもしれません。
この場合、アンダーマイニング効果的に正しいアプローチは「空き地で遊んだらご褒美を出す」ということになります。
ご褒美を出すと、子どもたちの動機が「空き地で遊びたい」という内発的なものから「ご褒美をもらいたい」という外発的な動機にすり替わります。そして、完全にすり替わった時に、ご褒美をストップすると、子どもたちは動機を失い空き地に入るのを止めてしまうのです。
僕が、褒めて動かすということに消極的なのは、こうした理由からです。
では、どのようなフィードバックが適切なでしょうか。
そのヒントは、まさにゲームにあります。
ゲームは…
1、本人がやりたくてやっている。
2、自ら判断し行動する「自律性」がある。
3、行動による変化・結果を即座に確認できる。(そのように意図的に設計されている)
この3点セットにより得られるフィードバックがあれば、職場でも、メンバーのヤル気と行動が持続します。
例えば、ある飲食店では…
1、社員さんがやりたくてやっている。
→利益至上主義を改め、利益は顧客に喜ばれた結果であるという認識を共有。顧客第一義を徹底した。
2、自ら判断し行動する「自律性」がある。
→顧客に喜ばれる企画を自分たちで研究、実践している。
3、行動による変化・結果を即座に確認できる。
→顧客のお店での反応、アンケート、Google評価などを組織的に確認している。
3つの条件の中で、最も難しいのは「1」だと思いますが、次のようにシンプルに考えることが大切だと思います。
・商売は顧客に喜ばれて初めて成り立つ。
・人は、他者に喜ばれることが大好き。
顧客に喜ばれる愉しさが繁栄のエンジンになるという、商いの真理に沿った経営が、ヤル気と行動を維持する王道であると考えています。
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