失って気づく物ものあるとすれば、我々は「この30年」で何に気付いたのか?

僕が社会人になったのは27年前、1995年です。
まさに「失われた30年」をまんま生きてきたわけですが、最近、改めて思うことがあります。

「いったい何を失ったのだろうか?」と。

1つに「希望」があると思います。
僕が幼少期から高校生まで、世の中には「明日は今日よりも必ず良くなる」という空気が漂っていました。
それが今はない。
実際に、内閣府が アメリカ、イギリス、スウェーデン、フランス、ドイツ、韓国の若者を対象に行った「諸外国の若者の意識に関する調査」では「希望がある」「どちらかというと希望がある」と答えた日本の若者は6割で、他国の8割と比べるとかなり低いことが分かりました。

もう1つ失ったもの、それは「挑戦」なんじゃないかと思っています。
人は貧しい時はリスクを背負ってでも挑戦しますが、一度豊かさを手にすると、それを守ることを考えます。

挑戦なきところに成長なし…それではやがて衰退してしまいます。

しかし、それも人間の理に適ったことだと思います。
「人は損をしたくない生き物」という行動経済学の原則があります。
例えば、こんな実験があります。

当たりとハズレが半々のクジを用意します。
当たりを引けば1万円がもらえる。しかしハズレを引くと5,000円払わなければならないという設定です。
辞退するという選択肢もあります。

すると多くの人が辞退を選びます。
確率は半々で当たりの場合の報酬の方が大きいのだから挑戦しそうなものです、そうではないのです。
う〜ん、本当に損をしたくないんですね。

さらに、辞退しても3,000円もらえるという条件を提示すると、さらに多くの人が辞退を選ぶそうです。

これと同じことが企業で起きていると考えるのです。
冒険すれば繁栄するかもしれない。
しかし失敗すれば損をすることもある。
ところが挑戦しなくてもしばらくは食っていける…そんな状況なら冒険しない企業も多いと思います。

部下が冒険して失敗した時に、それをとがめるリーダーがいますが、その背景には「失いたくないのに失ってしまった」という心理があるのだと思います。

先日、ホワイト企業大賞を受賞した、iYeel株式会社の窪田光洋社長の話を聞く機会がありました。
6年前に創業して以来、非常に順調に成長を続けている優良企業です。

同社には「失敗大賞」なるものがあり、果敢に挑戦して失敗した社員を表彰しています。

「失敗したということは挑戦したということ。それを大切にしたい」…社長ははっきりとそうおっしゃっていました。
僕はそこに美学を感じました。
儲けるために挑戦しよう、ではなく「生き方としてカッコいいし美しいから」…そんな思いが伝わってきたのです。

僕は、「文化を作ろうとしているんだな」と理解しました。
人が損をしたくないと思うのは本能と言っても過言じゃないと思います。
普通にしていたら挑戦しないわけですから、それに勝るものがあるとすれば「文化」や「美学」だと思うのです。

それがないと人間は本能と欲のおもむくままに行動するだけの動物に成り下がります。
同社は収益の前に「生き方」をつくっている会社なのだと思ったのです。

さて、よく「失って大切なものに気づく」と言います。
あなたはこの30年で何が大切だと気付きましたでしょうか?

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!

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