何が正解か分からない状況に置かれたら戦略発想を捨ててみる

正解がない時代には戦略発想が使いづらい

正解がない時代にはマネジメントが根本から変わると思います。
その代表が「戦略発想」です。戦略発想は最初にゴールを設定して、その道程を逆算式に考えます。
この手法では基本的にゴールを変えることはしません、変えるのはやり方です。

ここ100年以上、企業は戦略発想で経営をしてきました。
しかし、それが使いづらくなってきています。
その理由は、正解が分からなければゴールを設定しようがないからです。
だから、全く別の発想が求められると考えるのです。

正解がない時代は、これからが本番です。
VUCAの時代なんて言われますが、この概念は時代の少し先を行っている人が提唱します。
まずは言葉だけが先走り、何となく「正解がない時代だよね」と思ってしまいますが、これから先、本当に何をやって良いか分からない場面に直面する企業は多いと思います。
多くの業界がビジネスモデルの賞味期限切れを起こしているからです。

コロナ禍がまさにそうでした。
コロナ禍で見通しを掴んだ企業の多くが戦略発想ではない、新しい発想をしています。

それは…
う〜ん、良いネーミングが思いつきません(笑)

強いて言えば、以前に当ブログで書いた「ミツバチの行動」です。
ミツバチは、蜜の在り処を全員で探します。
全員が四方八方に散り、見つけたハチは「八の字ダンス」を踊ります。
そこに目がけて一気に集まるという作戦を取ります。

ミツバチのことは詳しくありませんが、もし、蜜がなければ違う場所に移動する(市場を変える)必要があるかもしれません。
あるいは、蜜以外の食料を調達する(商品を変える)必要があるかもしれない。

やってみなきゃ分からない。
ならばゴールを設定せずに、行動しながら最適な状態を模索し続けるのが最善だと考えるのです。

ゴールは、自ら目の前に立ち現れる

戦略発想に代わる新しい在り方を、僕は「公民館」に例えています。
今でこそ公民館は行政の下部組織のようになっていますが、昔は違いました。
地域の人たちが自主的に課題を解決する「場」でした。
建物がない地域もありましたが「場」はあった。

例えば災害が起きた時にみんなで集まり、あーでもないこーでもないと話し合い、自分たちで対策をしてきました。
何が正解か分からない中で、「何とかしなければ」という思いだけで人が集い、上下関係を超えた議論がなされます。
そして、とにかく行動してみては、その結果を持ち寄りまた考える…この繰り返しで対策が観えてきます。
決して戦略的ではありません。

これが正解のない時代の経営にも当てはまると考えます。

例えば、新聞業界はデジタル化によりビジネスモデルの賞味期限切れを起こしています。
これまでの成功手法は一切、使えません。
新たなビジネスモデルの構築が求められますが、何が正解かは分かりません。

僕の会社では新モデルの構築を模索して、幹部社員と会議を重ねてきましたが会議室で考えていても答えは出ませんでした。
もう、会議が嫌になって「とにかくお客様に喜ばれることを何でもやろう」と、半ばヤケクソを起こしました。

行動すると観えるものがありました。
それは生活者の困りごとです。
さらに、それらの困りごとは個々の問題というよりも地域の課題であることが分かりました。
そこで地域づくりをビジネスにすることになったのです。
しかも、それは新聞店ならではの経営資源がフル活用できる、まさに新聞店のミッションだと思ったのです。

行動したらゴールの方から立ち現れてきた、そんな印象です。

ゴールが設定できるうちは戦略発想で進めば良いと考えます。
しかし、本当に何をやったら良いか分からない時は勇気を出して捨てることが大切だと考えるのです。

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