社員への情報公開(決算書)はどこまで行うべきか?

人は自らの意思でのみ動く。意思決定には情報が必要

今の時代、情報公開をしていない企業に明日はない、僕はそのくらいに考えています。
なぜなら、人が主体的に動くのは情報をもとに自ら意思決定した時だからです。

「情報を見る」→「意思決定する」→「行動する」→「変化、結果を検証して次の意思決定を行う」

このサイクルを回すことで仕事の達人になっていきますが、情報がないと意思決定ができませんよね。
独裁国家が民を支配するために情報統制を行いますが、その成れの果ては歴史が証明しています。
情報がないと賢い選択ができないのです。

ところが、ひと言で情報と言っても、企業内には様々な情報があります。
決算書にも貸借対照表から損益計算書、固定費の内訳、給与などなど。

情報公開の必要性は分かるが、どこまで公開すれば良いか迷う社長も多いと思います。
「必要以上に公開しても混乱するだけだ」と言う方もいます。

僕は、全ての情報公開を行ってきました。
正確には、求められれば公開するというスタンスを取った結果、すべてを公開することになったのです。

そうすると、意思決定に必要な情報が何か?が観えてきたのです。

売上高だけの公開

20年ほど前は売上高のみ公開していました。
その理由は、それ以上に責任を持ってもらう必要はないと考えたからです。
売上が上がれば賞与に反映させてきました。
ところが、すぐに構造的欠陥が表面化しました。値引きをしても売上を確保する社員が出たのです。
結果、売上は上がったが売上総利益は下がるという事態に陥りました。

その時に、「社員は売りさえすれば良いと思っていやがる」と不満に思ったのですが、当然の結果です。
売上高しか公開していないし、それを賞与算定の基準にしていたのだから。

売上総利益まで公開する

そこで、売上総利益高まで公開して、これを賞与の算定基準にして、売上総利益の目標を立てることにしました。
これは上手くいきました。
安易な値引きは自分の首を締める行為です。経営と個々人の利害がマッチしました。

僕は、ここまでの情報公開は全ての企業が行うべきだと考えています。
そうしないと、社員の意識が儲けに向かないからです。

僕はこの時点で「ここまでの公開で社員は納得するだろう」と考えていました。
ところが、ある日、損益計算書を全て見せて欲しいと言ってきたのです。

社員を頭脳、パートナーとして受け入れるなら、情報公開は作法である

損益計算書の公開

損益計算書の公開を求めてきた理由は、固定費が何に使われているかを知りたかったからです。
別に社長を疑っているわけではないし、僕にもやましいことはありませんでしたのでOKしました。
しかし、正直、怖かったです 笑
例えば接待は、相手によっては社員が行ったことがない高級なお店ですることもあります。
「つぼ八じゃダメなんですか?」なんて言われたら面倒くさいな〜と思いました。
しかし、公開をした以上、説明は避けては通れません。
必要なのであれば堂々と説明すれば良いと考えます。

僕が恐れていたのは、僕のお金の使い方にケチをつけるつもりでいるのだと、僕が勝手に疑っていたからです。
しかし、社員たちは僕が思う以上に、お金の使い方を真剣に考えていました。

企業においてお金の使い方は未来を決める一大事です。
何に使うかで未来が決まると言っても過言じゃない。
リテラシーが要る分野です。

社員が知りたかったは、「自分が学びたい研修に行く予算が確保できるか?」だったのです。
もし、効果のないお金の使い方があれば、それを削減して研修費に回したいと考えていた。

この思いを知った時に、僕は社員を疑って申し訳ないと思ったし、恥ずかしくもなり、そして誇らしくも思いました。

貸借対照表の公開

損益計算書は単年度の通知表ですが、貸借対照表はこれまでの通知表です。
別名「残り表」で歴史の積み重ねが分かります。
会社を本当に自分ごとに考えている社員は、貸借対照表も気にします。
1年間の有期雇用ではないから。

弊社でも、ある日、社員から「観せてくれ」とお願いをされました。
渡したは良いが読み方が分からない、そこで自分たちで税理士にお願いをして勉強会を開きました。

経営者は自己資本を気にしますが、同じように気にしてくれたのは心強かったです。

経営の責任は社長にしかとれません。
しかし、意思決定に参画してもらうことは、知恵の時代の経営には欠かせないと考えます。
知恵を出すには情報公開が必須。

社員を手足ではなく一人前の頭脳、パートナーとして受け入れるなら、情報公開は作法だと思います。

それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい!

 


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