リーダーが一歩下がり、メンバーが一歩前に出る。

先日、読売新聞に「“謙虚なリーダー”は上司として優れているのか? 東大が日本企業の400人以上を調査」という記事が載り、思わず読みふけりました。

要約しますね。
東京大学の研究グループが、日本企業で働く462人を対象に「謙虚なリーダーシップ」と職場環境の関係を調査しました。
その結果、リーダーが自らの限界を認め、部下の強みや貢献を評価し、他者から学ぶ姿勢を持つほど、職場の心理的安全性が高まり、出勤していても本来の力を発揮できない「プレゼンティーズム」が低減することが示されました。

この記事を読み終わると、別の記事に目が行きました。

「上司を『さん』呼び増加」

部下が上司を、役職名ではなく「◯◯さん」と呼ぶ企業が増えていることが、文化庁が10月2日に発表した世論調査でわかりました。
「さん」づけが望ましいと答えた割合は、1996年度(8.8%)→2015年度(16%)→2025年度(25.5%)と、回を追うごとに増えているそうです。

ちなみに、僕の娘の会社では、「さんしゃいん運動」なるものを展開しています。すべての社員を「さん」で呼ぶということで、社長も例外ではないそうです。

この記事と、冒頭の「謙虚なリーダー」の記事が統合され、改めてリーダーシップの潮流が変わってきたと感じたのです。

日本は、儒教の影響を残しており、上下関係を重んじ、年長者に従うことを美徳とします。
しかし、正解のない時代では、過去の経験が役立たなくなるため、年長者に頼ることは必ずしも最善策ではありません。
賢い組織を作りたければ、年長者(役職者)を敬いつつも、自分で考え意志決定することが求められます。
そのためには、年長者や上司に対しても、言うべきことは言う文化づくりが欠かせません。

航空機事故の調査統計によると、航空事故は、副操縦士よりも機長が操縦している時の方が事故発生率が高いそうす。
パイロットの世界は非常に上下関係の規律が厳しく、機長の判断の誤りに対し副操縦士が物申すことができないことが原因だと言います。
航空業界では、機長の判断に異論を唱えられないことが安全上のリスクになると認識され、職位に関係なく双方向に意見できるCRM(クルー・リソース・マネジメント)という考え方が発展してきました。

さて「謙虚&フラット」が発展した先には、どんなリーダーシップが開けるでしょうか。
その1つに「サーヴァント・リーダーシップ」があります。

サーヴァントとは英語で召使い、使用人を意味します。
「リーダーが召使い?」…違和感を感じる方もいると思いますが、これまでの「支配」型のリーダーシップに変わる、新たなスタイルとして注目されています。

「支配」型リーダーシップは「自分は部下よりも優れている」という前提に立ち、 指示命令で部下を動かします。

一方、「サーバントリーダーシップ」は、部下の自律性と能力を信頼し、部下が成果を挙げられるように支援します。
召使いとはニュアンスが違いますよね。
サーヴァントが注目されている理由は、環境の変化が激しく、過去の業務知識が使い物にならなくなっていることがあります。

これだけ聞くと「なんと美しいあり方か」と思うかもしれませんが、これが成立するためには、リーダーの認識の転換だけでなく、部下の側にも自立と自律が求められます。

リーダーにとっても、部下にとっても、乗り越えなければならないハードルがありますが、だからこそ乗り越えた先には、素晴らしい世界が待っているのです。

これまでは、「上に行くほど、正解を知っている」という前提がありました。
しかし、正解が変わり続ける時代ではその前提は崩れ落ちます。
現場の方が変化を早く察知しますし、若い社員の方が、新しい価値観や技術に詳しいこともあります。

そんな時代に、役職を理由にリーダーの判断を優先してしまえば、組織は迷走してしまいます。
リーダーが一歩下がり、メンバーが一歩前に出る。…その両方があって初めて、組織は賢くなっていくのではないかと考えているのです。
 

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