幸福な社員が最も成果を出すという事実
僕は、多くのビジネスパーソンに「何のために仕事をしていますか?」という問いを投げかけてきました。
圧倒的に多い回答は「お金のため」ですが、お金は使ってなんぼ。「何に使いますか?」と問うと「家族のため」「自分の趣味のため」と、その人が大切にしているものが観えてきます。
一方、別の問いも投げかけます。
「どんな時に仕事の喜び、充実感を感じますか?」という問いです。
働く動機の中で最も多いのが「お金のため」なのだから、当然「給料をもらった時」や「昇給した時」と答えると思いきや、意外や意外、そういう回答は少ない。
では、何が多いかと言うと「お客様に喜ばれた時」「お客様に感謝された時」「自分が成長した時」「仲間と力を合わせた時」「目標を達成した時」といったものが多いんですよね。
どうも、動機と喜びが噛み合っていないような印象を受けるのですが、両者にはどのような関係があるのでしょうか。
これまでは「お金も大事だが、喜びも大事」「お金があって初めて喜びがある」「いや、お金よりも喜びが大事」「世の中、金がすべて」といった議論が多かったと思いますが、どれもしっくりきません。
この議論の限界は、両者を天秤に乗せていることです。
これまで、経済的な発展のために幸福が犠牲になった歴史があるからか、両者は二律背反する関係と捉えられる傾向がありました。
しかし、最新の研究では、両者は背反するものではなく、因果関係で結ばれていることが分かっています。
幸福と生産性に関する研究によると、「幸せな社員はそうではない社員と比べて創造性が3倍、生産性が1.3倍高い」という結果を得ています。
特に、近年、この因果関係が色濃くなってきています。
というもの、今、ビジネスには抜群の創造性が求められるからです。
以前は、性能の良いものを効率よく作り、大量に市場に流せば儲かった。しかし、ひと通りの豊かさを手にした現代人は、高性能は当然として、より感性を刺激する「エモい」ものを求めます。
「良いもの」の性質が、スペックで計測できるものから、感性価値へと移行しているのです。
そこで、感性価値創造の源である幸福が注目されているということ。
私たちは、何かを手にする、達成すると幸福が得られると考えてきましたが、多くを手にしても幸福になれない現実を見て、その誤りに気づいてしまいました。
幸福は、未来にあるのではなく「過程の中にある」ということを知っている…だから、「仕事の喜びは?」の問いに、日々の中にある「お客様に喜ばれた時」「お客様に感謝された時」「仲間と力を合わせた時」と答えるのでしょう。
つまり、人間性尊重の思想に基づき、働きがいと幸福を志向する経営が、最も経済的な富を生むということです。
念のため書き添えますが、「儲けのためには幸福が必要」という因果関係ではないですよ。
そもそも、経済の語源は「経世済民」です。
「世の中全体を良い方向に導き、みんなが幸せに暮らせるようにする」という意味です。その基本に立ち返ると、理想的な経営が観えてくると思うのです。
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