「奪い合えば足らぬ、分け合えば余る」を経営に実装すると?
「奪い合えば足らぬ、分け合えば余る」とは相田みつを氏の金言です。
競争原理の中で自分が富むためには「より多く取ること」と考えれば、それは同時に誰かの取り分が減ることを意味します。
これをゼロサムゲームと呼びます。
成熟社会に入ると、以前のようにパイが増えないためゼロサムゲームは加速します。すると勝った者が必要以上に取るので、そこかしこで足りないという事が起こります。
競争に対し、共創という概念があります。
読み方が同じというところに意味深さを感じてしまいますが、現代人の意識が共創に移り変わっているのは間違いありません。
共創にはどんな効果があるかというと、直接的には「分配の正常化」です。
僕の友人に、創業130年を超える呉服店の経営者がいます。以前に、彼女から興味深い話を聞きました。
それは「家族仲が良い家庭では、おばあちゃんが孫に呉服をプレゼントすることが多いが、家族仲が悪い家にはそれがない」ということです。
これを聞いて、単純に「仲が悪けりゃプレゼントはしないだろう」と思ったのですが、もっと深い意味があるのです。
いくら仲が良くても、高価なものですからプレゼントには躊躇が伴いますよね。
仲が良い家庭では、自分が困った時に支援の手が差し伸べられるので、自分も家族に躊躇なく贈与できるということなのです。
これは家庭のOS(オペレーションシステム)が共創だから起きることだと思ったのです。
これは企業経営にも当てはまります。
成果主義が廃れたのは、評価の奪い合いが起きたことで風土が荒廃したからです。
「奪い合えば足らぬ」の言葉通り、組織内からチームワークや創造活動が足りなくなってしまいました。
対し、共創すれば、自分が困った時も安心して働けますね。
この安心感が、心理的安全性を高め、創造活動を活性化します。分け合えば、余りある知恵が生まれ、パイが増える可能性があるのです。
例えば、友人の呉服店に行くと、呉服がある生活の魅力に感化され、思わず欲しくなってしまいます。
事実、僕は買う予定などまったくなかったのに、友人から呉服の文化性の話を聞くうちに欲しくなってしまい、一枚買ってしまいました。
つまり、同店は、自分たちの力でパイを創り出したということです。
普通の呉服屋のように、商品が並んでいるだけでは起こり得ないことです。
もう、現代人のほとんどはモノに満たされているので、並べておくだけで売れることはありません。どれだけ値引きをされようが、要らないものは要らないのです。
同社のパイをつくり出す創造性を支えているのは社内の共創文化です。
いつも社員同士でコミュニケーションを取ったり、情報共有をしたりして助け合っています。
そして、感性豊かな顧客に囲まれ、顧客に喜ばれることを悦びに仕事に励んでいます。
それにしても、心の充足を創造する呉服店に、それが分かるお客様が付くのだから、まさに「鏡の法則」とはこのことだと思ったのです。
奪い合いの果てに疲弊した世界に、分け合うことの豊かさを取り戻す──。そんな静かな革命が、今、私たちの足元から始まっているのかもしれません。
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