決して、メールで伝えてはいけないこと。
お盆に掃除をしていたら、大昔に使っていたポケベルが出てきて胸が熱くなりました。
ポケベルが鳴ると、会社に電話して要件を確認するのですが、当時は携帯電話が普及していなかったので公衆電話を探したものです。
それに比べると、情報技術が進化し、いつでも要件を伝達できるようになりました。
とても便利なのですが、同時に弊害も生まれています。
それは、伝達は主に文字で行われるため、その背後にある「大切なもの」が伝わらないことです。
大切なものとは「情報」です。
「文字でも情報は伝えられる」と思うかもしれませんが、情報とは、字のごとく「情を報せる」ということ。
情が含まれていなければ、単なるデータです。
三国志の時代、諜報員の世界で一流と二流以下を分けるものは、まさに「情」の編集力だったと言います。二流はデータ、例えば兵力が何人で船が何隻でといったデータしか収集しないが、一流は民の忠誠心だとか、兵士のモチベーションといった定量化できない情報を集めたそうです。
要件を伝えるだけなら文字が適していますが、「情報」を伝える場合は「声」で伝えた方が良いのです。
❚ 文字の文化と声の文化
文化人類学に「文字の文化」と「声の文化」という概念があり、世界には、それぞれの住人がいます。
「文字の文化」の住人は、物事を体系的に整理することに長けています。例えば、「木とはどういうものか?」と聞かれれば、「地中に根を張っていて、そこから幹が伸び、季節になると実をつけ…」といった体系的な説明をします。
もちろん、日本人の大多数が文字の文化の住人です。
対し、声の文化の住人は、感覚に長けています。
例えば、「木とはどういうものか?」と問いを投げかけると、熱を込めて次のような説明をするそうです。
「オレたちを守ってくれる神さ。偉大な存在だよ」「夜になるドドーっと唸り、時にオレたちを威嚇する」
政治家でいえば、小泉純一郎元首相は声の文化の使い手ではないでしょうか。
リーダーは声と文字、両方の能力が必要ですし、ケースバイケースで使い分けをすることも必要です。
❚ 「感 即 伝」で声の文化を訓練する
私たちは、文字の文化は十分な訓練を受けており得意ですが、声の文化に関しては苦手な人が多いと思います。
ちなみに、僕は専門家のもとで声の文化の訓練を受けました。
専門家とは、吉本所属のお笑い芸人です。非常に厳しいセミナーで、コミュニケーションの要諦を身体に叩き込まれました。
セミナーでは、文字にすればまったく面白くないネタを、表現だけで面白くする訓練があります。
例えば、「ねえねえ、この前、沖縄に行ったらちょうど台風に当たってさ、こんな太い木がこんなに傾いていたんだよ」という、どうでもいいネタを、喋り方と身体表現で面白くするのです。
講師に「恥ずかしがるなー!」と何度も叱られて大変でしたよ 笑。
声の文化は、その性質上、論理的に学ぶことはできません。
感じたことを、感じたままに、即、表現する…「感 即 伝」しか方法はないのです。僕は、習得のコツを「アホになる」と心得ましたが、伝わっていますでしょうか。
近年、海外のビジネススクールでは、演劇を取り入れるところが増えているそうですが、非常に効果的なアプローチだと思います。
最後に、声の文化は非常に強力ですが、そのコミュニケーションは一歩通行です。
それでは納得は得られても共感は難しいと思います。
声の文化の技術で止まらずに、相手の声を聴き対話する「聞き耳」のコミュニケーションが求められると考えています。
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