チームビルディングの弊害

「チームビルディング」「組織開発」という言葉があります。
響きがカッコよくて惹かれるものがありますよね。
しかし、優れた組織を分析すると、どうも「開発」というイメージとはかけ離れた姿が観えてきます。
そこには、特定の誰かが作ったというよりも、メンバー1人1人の働きかけで『なった』という実態があるのです。

「つくる」ではなく「なる」

上意下達で動くトップダウン型の組織を創りたければ「ビルディング」の発想で良いと思いますが、自律性、主体性を尊重したいのなら、違った発想を持った方が良いと考えます。

それを知る上で大切なことは、先ほど述べた「1人1人の働きかけ」を具体的にすることです。
実は、その働きかけは14種類あり、指示ゼロ経営では「創発カード」というアイテムでキャラクター化しています。

まず、14の役割は大きく「パフォーマンス」と「メンテナンス」に分かれます。
パフォーマンスとは、文字通り、組織が良い成果を出すための直接的な機能を指します。
対し、メンテナンスは、組織が民主的で安心な場であり続けるために必要な機能です。

【パフォーマンス】
・「まず、やってみましょう」と口火を切る人。
・口火を切った人に「それ、面白そう。手伝うよ」と乗っかる人。
・発言していない人に「○○さんは、どう思います?」と声をかける人。
・みんなが賛成していても「ちょっと待って。それ、本当にそうかな?」と異論を言える人。
・「それって、どういう意味?」「なぜそう思ったの?」と問いかけ、話を一段深くする人。
・多様な意見を「つまり、こういうことですよね」と整理する人。
・話がまとまってきた時に「みんな、本当にこれでいい?」と、納得しているかを確かめる人。

【メンテナンス】
・発言した人に対し「それ、いいと思うよ」と背中を押す人
・場が重くなった時に「ちょっと気分が重いよね?」と、場の空気を言葉にする人
・話し合いが堂々巡りになった時に「いったん違う方法で考えてみない?」と流れを変える人
・意見がぶつかった時に「どっちも言いたいことは分かるよ」と間に入る人
・「この決め方で、みんな納得できてる?」と、話し合いのプロセスを振り返る人
・一部の人だけが話している時に「まだ話していない人の意見も聞いてみよう」と場を整える人
・メンバーが自分たちで考え、動く姿を信じて、すぐに口を出さずに見守る人(リーダー)

いかがでしょうか。
普段、これらの役割を担ってくれている仲間の顔が浮かんだと思いますが、はてさて、これだけの役割を、刻一刻と変化する状況においてリーダーが采配することは不可能です。
リーダーが「自分の手で開発する」と意気込んでできるものではなく、だからチームビルディングという言葉が似つかわしくないと感じるのです。

つまり「つくる」ではなく「なる」ということですが、「なる」ためには、最低限、次の2つの要件が欠かせません。

1、仲間のことが好き。
2、チームとして実現したいことがある。

「好き」というのは、単なる仲良しという意味ではありません。この人と一緒にやりたい。この人の力になりたい。この人の力を借りたい。そう思える関係です。

シンプルですね。この2つが揃うと、14の役割が生まれやすくなります。
指示ゼロ経営では、役割分担をより確かなものにするために、名前をつけてカード化しているということです。

チームづくりというと、リーダーがメンバーに働きかけ、役割を与え、仕組みを整え、チームを「つくろう」と考えます。
しかし、自律的なチームは、そうやって生まれるものではありません。
「仲間のことが好き」「このチームで実現したいことがある」…この土壌から、役割が自然と芽生えてくるのです。

だから、リーダーの仕事は、芽が出る環境を整えること。
「つくる」から「なる」へ。この発想の転換が、指示ゼロ経営におけるチームづくりの出発点だと考えています。
 

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