中小企業の成功の鍵は「上手な失敗の仕方」にあり
ここ数年「ジョブ型雇用」が話題になっていますね。
ジョブ型雇用とは、企業が自社の戦略を進める上で、必要な能力やスキルを持った人を雇用するという人材戦略です。
元々、大企業向けに開発された手法ですが、これを中小企業で取り入れるのは非常に危険だと考えています。
その理由は、大企業と中小企業は、そもそも人材の活躍の仕方が真逆といっていいほど違うからです。
丁寧に説明しますね。
大企業のビジネスは、料理で例えるなら、「夕飯はカレーライスにする」と決め、それに必要な食材を揃えるという手続きで行われます。戦略を決め、それに必要な資源(人材含む)を確保するのです。
この例えは、メニューがカレーライスという「万人が好きなメニュー」であるところがポイントです。大企業のビジネスは、確実にニーズがある領域を狙いますからね。
事前に必要な資源を大量に揃えるため、失敗は許されません。そこで、ニーズを掴むために徹底した市場調査を行います。とある大手生活材メーカーは、「日本国内の窓の枚数」を把握しているとさえ言われています。
市場調査が成り立つということは「正解がある」ことを意味します。要するに、生活者に聞けば「もっと汚れが落ちるガラスクリーナーが欲しい。できれば1人暮らし用の小さなサイズがいい」などと答えてくれるということです。
パズルのように「正解」に向けて効率よくピースを揃えていくような経営なので、最適なピースを戦略的に採用する「ジョブ型雇用」が成り立つわけです。
対し、中小企業はニッチな土俵で商売をします。万人が求めるものではないが、一部の人に「そうそう、こういうものが欲しかったの」と言わせる商売です。
「こういうものが欲しかったの」という言葉が正解がない時代を表していますね。生活者は、それを提供されて初めて自分が欲しいものに気づくということですから。
正解がないということは、やってみなければ分からないということなので、企業には、試行錯誤をたくさんできる機動力が求められます。
ジム・コリンズは「ビジョナリー・カンパニー」の中で、優れた企業の特徴として「たくさん試して、うまくいく方法を探る」という要件を挙げていますが、これを言い換えれば、「上手に失敗する経営」ということになります。
そんな状況下で、中小企業がジョブ型を導入すれば、十八番である機動力を失うことになりかねません。
中小企業の経営を料理で例えるなら、「冷蔵庫にある食材でメニューを考える」という柔軟なやり方だと思います。
知恵が要りますが、色んなメニューを開発できる可能性があります。
「顧客に喜んでもらいたい」という想いがあれば、その想いが創造性を駆動し、仕事が愉しくなります。それで顧客に喜ばれたら悦びもひとしおです。
中小企業の強みは、変わり身の早さと、手持ちの資源を活かす創造力にあります。
冷蔵庫の中から新しい一皿を生み出す料理人のように、人の個性と可能性を見つめ、組み合わせ、試してみる。
その試行錯誤の繰り返しから未来が拓けるのだと思います。
流行っているからという理由で飛びつくのは危険。ということで自社の人事を考えるきっかけにしていただければ幸いです。
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