経営者が思いもつかない方法で経営を変革させた管理栄養士の実践

「戸が笑う」という言葉があります。
簡単に言うと雰囲気が良い状態です。お店ならスタッフがお客様に喜ばれる仕事に幸福を感じ、お客様も幸せな気持ちに満たされている、そんなお店です。
繁栄の大原則だと思います。

僕は、どんな戦略よりも、どんな社員教育よりも大切なことだと考えています。
そして、戸が笑う状態は人間の性質に合っていると考えるのです。
人は社会性の生き物ですから、他人に喜ばれることに快を感じるようにできています。
つまり、その本質に立脚した経営が無理のない繁栄に繋がるのだと。

今日は、ある養護老人ホームの事例から、この事を考えたいと思います。

まずは養護老人ホームの話から。
実践したのは経営者ではなく、なんと、管理栄養士のMさんです。
しかも、その実践は通常業務ではなく、社会貢献活動でした。
狙っていたわけではないが、社会貢献活動の結果、戸が笑ったのです。

福島ひまわり里親プロジェクトという活動が全国で展開されています。
福島の復興支援の活動です。ひまわりを種の状態から育て、秋に種を収穫して福島に送り、福島で育て、ひまわりでいっぱいにしようという活動なのです。
1つの種が500倍くらいになるそうです。
活動が広がれば福島はひまわりでいっぱいになる。同時に、それは全国からの応援の証というわけです。

Mは、この活動を養護老人ホームでやったのです。利用者さんと一緒に。
利用者にAさんという、少し精神的に病んだ方がいました。自殺願望があり、いつも「死にたい」とこぼしていたそうです。
Mさんが、「ひまわりを育てよう」と誘った時も、最初はあまり乗り気ではなかった。
雑草1つ取るのにも、いちいち「取ってもいいですか?」と許可を求めてきたそうです。

5月に蒔いた種が芽を出し、7月になると開花の予感を感じさせるようになりました。
Aさんに変化が表れたのは、この時でした。

明らかに態度が変わったそうです。これまでは何をするにも許可を求めたAさんが自発的に行動するようになったそうです。
なぜか?

Mさんによると、開花の予兆が福島の人たちの笑顔のイメージに繋がったからだと言います。

「もう少し頑張れば花が咲き、福島をひまわりでいっぱいにできる」

会話も変わりました。
これまでは、「昨日の晩ごはんは味が薄かった」とか食事に対する不満ばかり言ってきたそうです。
それが、気付けば、ひまわりの話題ばかりになった。

Aさんばかりではありません。
ひまわりの生育具合は、みんなが見える場所に張り出しました。すると、利用者同士で「もうすぐだね」といった会話が広がっていったそうです。

ひまわりを育てる同士、福島に笑顔を届けるというミッションを共有したチームになった。
利用者同士の助け合いも起こるようになり、施設内には「ありがとう」という言葉を飛び交うようになりました。

僕は、利用者の高齢者集団が1つのチームになったと解釈しました。

「戸が笑い出した」

利用者の家族だったら、こういう施設を選ぶと思います。
どんなに鋭い戦略よりも効果的です。

僕は、この実践を聞き、感動したし経営者として、指示ゼロ経営の研究として大きな収穫を得ました。

Mさんの実践は、指示ゼロ経営に当てはめることができると考えています。

1、人間の「他人に喜ばれたい」という本質に立脚する…ミッションを打ち立てる
2、ひまわりの成長を自分の目で確認できる…ミッション達成に近づいていることが実感できる「変化の見える化」
3、ひまわりの生育具合の共有…プロジェクトの状態を全員が把握できる仕組み

1人の管理栄養士さんが、施設の「戸が笑う」を実現してしまった。
すごいことだと思いました。

最後に、いつも「死にたい」と言っていたAさんから、信じられない言葉が出ました。
秋になり、種の収穫が終わり福島に発送した時のことです。

「来年も植えるから、福島の人たち、待っていて」

自殺願望があった人が未来を観ている。

戸が笑う、を通り越して、戸が「嬉し泣き」していると思います。

Mさんの貴重な実践を、是非、皆さんの経営に役立ててくれたら僕も嬉しいです。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

ワクワクすることに積極的なあなたが大好きです!!


【現在受付中のセミナー】

□自律型組織を自社に導入したい方!
「指示待ち社員が自ら動く社員に変わる 指示ゼロ経営ベーシックセミナー」

・2019年2月15日(金)大阪開催
・【残席9】2019年2月20(水)東京開催

□みんなが実現を望むワクワクするビジョンを描きたい方!
「描いた未来が現実になる!TOC &指示ゼロ経営式ビジョンデザイン研修」

・2019年2月9日~10日 大阪開催

□指示ゼロ経営書籍 出版記念講演
全国各地で開催!「リーダーが『何もしない』とうまくいく」出版記念講演
3/2(土)諏訪市、3/30(土)岩手県一関市、4/13(土)大坂

各セミナーの詳細は下のバナーをクリック!

The following two tabs change content below.
米澤 晋也

米澤 晋也

1971年長野県生まれ。株式会社Tao and Knowledge代表 株式会社たくらみ屋代表 一般社団法人夢新聞協会理事長。
指示・命令をしなくても自分たちで課題を発見し行動できる組織「指示ゼロ経営」を提唱する。
1人1人が自由に行動し、創造性を発揮しながらも調和する、Jazzのジャムセッションのような組織です。
特に2代目、3代目経営者が自分の組織を創るための実務を得意としています。
著書に「リーダーが『何もしない』とうまくいく」がある。

記事を気に入ったらシェアをしてね

  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket