本当に社員の自立を願うなら、褒めることをやめて違うコミュニケーションをしよう

褒めると依存心が生まれる、上下関係を強化してしまう

僕は褒められることが好きではありません。
褒められるよりも、思わず「すごい」と驚かれたり感謝される方が好きです。
なぜ好きではないかというと、そこにコントロールの意図を感じるからです。
心が動いていないのに他人を褒める時は「なんか裏があるんじゃない?」と勘ぐってしまいます。
多分、何らかの意図があると思う。じゃなきゃ褒めないもん。

部下のヤル気を引き出すために褒める上司がいます。
別に悪いことじゃないけど、長期的に見れば得なことではないと思うのです。
依存関係を生み、部下の自律的な成長を阻害するからです。

そもそも褒める行為は「上の者から下の者」に対し行われるものです。
例えば…
「大したもんだ」「よくやった」「偉いぞ」「良い出来だ」…こうした言葉は上が下に使う言葉です。
その証拠に、これらを部下から上司に言ったら、すごく違和感があります。

敬語を使ったとしてもね。
「社長、大したもんです」「よくやりましたね」「偉いです」「良い出来です」

ぶん殴られるよね? 笑

上の者から下の者に投げかけられる言葉は依存関係を生みます。
部下が自分で納得してやっていることが、やがて「上司に褒められたい」という動機にすり替わる可能性があります。
同時に、上下関係を強化してしまいます。

部下は上司の評価を気にするようになり、本来、向けるべきところに意識が向かなくなります。上司に認められることをするようになるので、上司の限界が部下の限界を決めます。

あまり得な話ではないよね。

褒める代わりに素直に感じたことを伝えよう

褒めてヤル気を引き出すと、やがて回復できなまでに依存関係が深刻化します。
「何を大げさな」と思うかもしれませんが、本当にそうなのです。
人は慣れる生き物なので、1度褒められると、その後はもっと激しく褒めてもらいたくなります。
もっと頻繁に褒めてもらいたくなります。

そして、部下の中にはそれが叶わないと不満を持つ人が出ます。
僕は、あれほど尊敬していた上司なのに、人が変わったように侮辱し始めた人を何人も見てきました。
依存心が満たされなくなり不満にすり替わったのだと思います。

本当は、心の中では「もっと私を見て」と思っているのですが、それを素直に言う大人はいませんよね。
そこで、上司に気にかけて欲しくて冷たい態度を向けるようにもなります。
「気付いて」というメッセージです。
それに応えてしまうと、部下は上司をコントロールすることを学習してしまいます。
怖いことだと思う。

自律性を機動力にする指示ゼロ経営(ホラクラシー)では褒めることをよしとしません。
すると「じゃあ、どんなコミュニケーションを獲ればいいのさ?」と訊かれることがあります。確かに迷いますよね…

人は、何かをする事は得意ですが「しない」はすごく苦手です。
だから、やめる代わりに始める行動が必要です。
では、どんなコミュニケーションに変えれば良いのでしょうか?

それは上下関係を感じない言葉です。
基準は「上司から部下に言っても、部下から上司に言っても違和感がない言葉」です。
どんなものがあるでしょうか?

それは、感じたことを素直に伝える言葉です。
例えば、「ありがとう」「すごい」「助かった」「嬉しい」…これらであれば、どちらから言っても違和感はないですよね?

1人の人間として感じたことを素直に伝えれば良いと思います。

これは逆に言うと、感じなかった時は無理して口にしないことだと思います。
無理をする背景にはコントロールの意図があるのだと自覚することが大切だと思います。

もしかすると、普段から部下を褒めている場合、それをやめた時に社内が混乱するかもしれません。
これは赤ちゃんの断乳と同じだと思います。
依存を断つまでは、互いに辛い思いをする覚悟が要ると思います。

断つと自分の力で立つ。
人間は想像以上に強い、そう思うのです。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

 


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米澤 晋也

米澤 晋也

1971年長野県生まれ。有限会社共和堂代表取締役
指示・命令をしなくても自ら考え行動する社員を育て、社長が掲げるビジョンに向かい1つになる組織を創る方法論「指示ゼロ経営」の実践組織Tao&Knowledgeを主宰する。
1人1人が自由に行動し、創造性を発揮しながらも調和する、Jazzのジャムセッションのような組織です。
特に2代目、3代目経営者が自分の組織を創るための実務を得意としています。

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