これから生き残るのは「削る経営」か「創造の経営」か?

おはようございます。
この季節、折り込みチラシが大量に入りますね。
年末商戦に向けて販促が過熱していますが、そもそも「年末商戦」という言葉が変だと思います。
「戦」って誰と戦うの?という疑問です。

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こう言うと「いや、ライバルに負けるわけにはいかないだろ?」と反論をされますが、僕は顧客を奪い合うという構図は成長社会の名残だと思っています。
そんな事をしていたら、気が付いたら顧客がいなくなっていたという最悪の事態になると思う。
今日は、ライバルから顧客を奪うのではなく、「独自に顧客を創造する」というテーマで記事を書きます。

成長期の「モノを流す経営」が通用しない時代になった

成長期はモノがよく売れた時代です。成長期前半はモノがないから売り出せば成果が出た。そうなると競争が激化するのは当然です。
だから成長期中盤から後半にかけては「戦」の状態になります。
その時代はより効率良くモノを流せる大手企業が有利なので、昭和50年代以降、小さな商店は苦境に立たされました。
個性よりも効率性、画一化した管理が功を奏す時代です。
それでも、まだモノを買ってくださる生活者は多かったからなんとかやっていけた。
でも、今はモノに満たされたから、お客様の選択肢には「何を買うか?」だけでなく「買うか買わないか?」が加わってしまったのです。

「買う」が前提で成り立つ「戦」をしていると、気が付くとお客様がいなくなっていたという事態になってしまいますよね。

僕の家から30キロほど離れた国道沿いに、安売りで有名なAスーパーと独自性を発揮してがんばっている地域のBスーパーが道を挟んで対峙しています。
いつも前を通ると、A店の駐車場はガラガラなんです。B店は満車状態。
僕の推測ですがA店は価格競争で(B店ではない)他社に負けたのだと思います。もしかしたら、ライバル店も同じような状況かも知れません。
対し、B店は独自に顧客を創造している。

B店の店内を歩いていると無性にワクワクしてくるんですよ。
食卓が楽しくなるのが想像できちゃって、料理をしないくせに((笑)
インスピレーションに満たされるのです。

実は、A店で働いている知人がいるのですが、会うたびに疲弊しきっています。
数字の追求が厳しいから。
仕入業者の叩き方も厳しいが、社内のノルマも厳しい。
その他、効率を高めるための計画でスケジュールは埋め尽くされています。
モノを売るための「削る」経営なので「創造」の余地はありません。
その手法で成果が出た時代があったので、なかなか方針転換が出来ないのだと思います。

人の幸せをつくる創造の経営への転換

対し、B店はスタッフだけでなく仕入業者やメーカーからもプライベートブランドの提案が出るので非常に商品開発が活性化していると地元紙に紹介されていました。
エネルギーと時間の多くが「魅力的な食卓」の創造に使われているのです。
人の生活を豊かにするための「創造」の経営です。
それはすなわち消費の創造です。

A店とは遺伝子レベルで違う経営をしているといってもいい。

モノがよく売れる成長期の経営は、とにかく効率を求めるシステム重視の経営が最適だったのでそれを否定するつもりはありません。
でも、それが今の時代に合うのか?と疑問符を投げかける時期に差し掛かっていると考えます。

遺伝子の入れ替えは相当な苦労を伴います。
従来のやり方で経営を維持してきたので、いきなりやめるわけにはいかないからです。
今のやり方をしばらくは続けながら、新しい方法にオーバーラップさせていかなければなりません。
また、社長を始めスタッフの遺伝子も創造タイプにしなければなりませんが、これは気が遠くなるような作業です。

逆に言えば、だからこそ少しでも早く着手した方がいいとも言えます。

モノを市場に流す削る経営か、人の幸せをつくる創造の経営か。
まずはその決断だと思います。

それでは今週もがんばりましょう。

また明日。