皆の前で1人の社員を褒めるくらいなら、皆の前で叱った方がチームは成長する

褒める時はみんなの前で、叱る時は個別に…そんな話を聞いたことがあります。
みんなの前で褒めることで周りの社員に刺激を与えること、叱る時は本人のプライドに配慮するという考え方です。
僕もやったことがありますが人によっては効果はあります。しかし弊害もあります。
弊害の方が大きいと考えています。

どうしてか?
今日はその理由と、それに変わる方法を考えたいと思います。

チームワークは役割の集合体で成り立っているから個を切り取っても意味がない

僕は以前に「みんなの前で褒める」ということをやったことがあります。
しかし評判が悪くやめてしまいました。
悪評の原因は2つあります。
1つは褒められた人が申し訳なさそうにするのです。「もっと誇っても良い」と伝えたら、こう言いました。
「いや、私以外の人も色んなことでがんばっているし…」

なるほどと思いました。
この取り組みは完全なる僕のコントロールです。僕にとって価値があると思う行動をしてくれた社員を称賛するのだから。
偏っているのです。
チームワークには色んな役割があって、トータルでチームは力を発揮します。
とても複雑系です。
一見して活発に働いている人の陰でチームに貢献している社員は多いのです。例えば、引っ込み思案で発言をしない仲間に「何かない?」と促す人もいます。
縁の下の力持ちになって議事録をつくる人もいます。
落ち込んでいる仲間を飲みに誘う人もいますし、場の雰囲気が良くなるようにあえてアホなふりをする人もいます。
役割は固定されておらず場と状況に応じ入れ替わります。

飲みに誘うのも立派なチームへの貢献

仕事は個々で完結していません。色んな役者がそれぞれの役割をまっとうして初めて成果を上げるので、社長・上司は全体の俯瞰することが大切になります。

褒めた社員が「私以外の人も色んなことでがんばっている」と言ったのはそういうことです。
自分だけの力じゃないのに自分だけが褒められるのは申し訳ないと思ったのです。

チームワークは役割の集合体で成り立っているのだから全体を観る視点が欠かせません。

そして個に意識を奪われるとチームワークを破壊してしまう危険性もあります。
それが悪評の2つ目の理由です。

自律型組織を目指すリーダーなら「チームに課題を与え、チームを評価する」という発想は必要

褒められた人が申し訳ないと思う以外にも、褒められなかった人から「私を見ていない」という不満が出る事があります。
その矛先が社長、上司に向けばよいのですが褒められた人に向ける人がいる可能性があります。「自分ばっかりズルい」と。
評価制度を導入していると仲間に向ける可能性はさらに高まります。
しかもそれを直接本人に言うのではなく多くの場合、仲間に「◯◯さんってズルいよね」と言うのです。
こうしてチームワークに影を落とすのです。

この前のサッカーワールドカップで大迫勇也選手が見事なゴールを決めて注目されましたよね。テレビをつけると「ハンパないくらい」大絶賛の嵐でした。
あの後、別の選手がインタビューで皮肉っぽくも冗談交じりで「大迫ばかりに注目しないでください」というようなことを言っていました。

確かに見事なプレーでしたが1人で出した成果ではありません。

チームは人体に似ていると思います。色んな器官が相互に作用し合いながら生命活動を維持しています。
酒が強い人に「肝臓丈夫だね」と言うと胃は気分を害すかもしれません。
「私が頑張って消化しているって知ってるんの?」と。そして腸に言います。「あんたも頑張っているよね?肝臓ばかり評価されるのって解せなくない?」

個々を評価することにはこのような危険性をはらんでいます。
だからチームを生命体と捉えることが大切です。

自律型組織を目指すリーダーには「チームに課題を与え、チームを評価する」という発想が求められます。
だから、みんなの前で褒めることをしないのです。

逆に、みんなの前で叱る方がマシだと思います。
仲間が、「上司は◯◯さんのことをよく見ていないけど、私たちは影でがんばっているのを知っているよ」とフォローするからです。

みんなの前で褒めるのは上司のコントロール下で仕事を進める場合は良いと思いますが、自律的に協働するチームには害になると考えています。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

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米澤 晋也

米澤 晋也

1971年長野県生まれ。有限会社共和堂代表取締役
指示・命令をしなくても自ら考え行動する社員を育て、社長が掲げるビジョンに向かい1つになる組織を創る方法論「指示ゼロ経営」の実践組織Tao&Knowledgeを主宰する。
1人1人が自由に行動し、創造性を発揮しながらも調和する、Jazzのジャムセッションのような組織です。
特に2代目、3代目経営者が自分の組織を創るための実務を得意としています。

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