人材育成の目標は会社が潰れても他社から引っ張りだこの社員を育てること

経営は長期視点を持つことが重要です。どうやらこの世は短期利益を追求すると長期では損をするようにできているらしい。
例えば、目先の利益を追求して無理な売り込みをすると顧客離れを起こし長期では損をします。人材育成も同じだと考えています。
人材育成における長期視点とは何なのか?

僕は「会社が潰れても他社から引っ張りだこの社員を育てること」だと考えています。

VUCAの時代を生き抜く力を身につける

先日、とても貴重な体験をしました。全国から教員が集まる勉強会に参加させていただいたのです。
参加者の9割以上が教員でした。その中に経営者や親が混じっていました。
「来るもの拒まず」の姿勢に感銘を受けました。
勉強会のテーマは「すべての子ども達が30年後幸せに生きるための教育」でした。
長期視点の素晴らしいテーマだと思います。

現場の先生、特に中学校、高校の先生にとっての最大のテーマは受験と就職です。
親がそれを望むからです。
つい通過点である受験や就職を目的化してしまいます。
『学び合い』という知見の研究、普及をされている上越教育大学教授の西川純先生による講演がありました。(二重括弧で表記します)
『学び合い』は指示ゼロ経営と同じです。チーム(学級)で課題を見つけ協働により自律的に解決する力を養うことを狙った学習法です。
その目的はこれからのVUCAの時代…変化が激しく正解のない、何か起きるか予測ができない時代を生き抜く力を習得することです。

本当に熱心な先生たちの姿を見て日本の未来に希望が持てました。

そして思いました。
企業における人材育成の「目的」も同じではないかと。
企業は直近の問題でいっぱいいっぱいになっています。キャッシュを回すという大命題がありますから。
でも、目先に囚われるとやがて損をします。

人材育成も同じだと考えます。
通常、業績アップのために育成します。さらに言えば、上司は「自分が任期中に成果を上げるため」と考えてしまいます。
するとスキルの習得に偏ります。

パソコンで言えば良いアプリを入れたがるのです。
しかし、長期視点に立つと「OS」が重要になります。

知識よりも先に考え方、行動様式を育成する

パソコンのOSは人間で言えば「考え方」「行動様式」です。どんなに良い知識も考え方が間違っていたら役に立ちません。害を及ぼすことさえある。
例えば、『学び合い』で言えば、知識よりも「どんな時代、そんな場に行っても仲間と協働し成果を上げられる考え方、行動様式」を最重視しています。
言い方は雑ですが学力(アプリ)は二の次なのです。
これは30年後にも活躍できる教育という長期ビジョンからしか生まれませんよね。

企業も同じだと思います。非常に優秀な社長の下で活躍できる社員は、その社長がいなくなったら活躍できないかもしれません。
だから自分が死んでも活躍できる社員を育てるという発想になります。
また、企業には寿命があります。そして短命化する傾向にあります。
だから自社が潰れても他社から引っ張りだこの社員を育てるという発想になります。

そうすることで結果的に「潰れない会社」になるのだと思います。

ではそういう社員とはどんな社員なのでしょうか?
「創造できる」「行動できる」「結果を出せる」そんな人材です。

そして人類はこれまで幾多の試練を「協働」で乗り越えてきました。人類が身につけた最も汎用性の高い能力です。

1人では思いつかないアイデアを三人寄れば文殊の知恵で継続して生み出すことができる。
1人では日和って行動できないこともチームでは挑戦できる。
1人では諦めてしまうことも粘り強く続けられる。

変化が激しく何が正解か分からない時代には共創・協働の力が求められると考えています。
これらは仕事だけではなく、一生にわたり活用できる力です。

社員を業績を上げる手段と捉えるか、かけがえのない人間として尊重するか…
経営者の考え方が人材育成に如実に表れると思います。

先日の教員の勉強会で僕が思ったことは概ねこんなところです。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

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