上司に反論できない組織は馬鹿になる。周りの目を気にし過ぎても馬鹿になる

日大アメリカンフットボールチームの問題では、加害選手から監督やコーチに、さらに学長へと責任の追求が激しさを増しています。
事実関係を紐解くと、どうやら監督・コーチからの指示だったという節が濃くなってきていますね。

こうした問題は企業でも起きる可能性があると考えています。
しかも、やっている側はそれを正義だと信じていることが多い。
本当に怖いことだと思います。
もしかしたら日大もそうだったのかもしれません…

今日は、組織が陥る「悪意なき欺瞞」について考えたいと思います。

人の集団がお馬鹿になる2つのパターン

人の集団は賢くもなるしバカにもなります。
おバカになる典型的なパターンは2つです。

トップがバカで、しかもタチが悪いことに強大な権力を持っている場合

「トップがAと言えばA」
これはトップがバカだと集団もバカになります。

以前に、食品の偽装で騒がれた企業がそうでした。
内部告発で明るみになったのですが、告発をした社員の手記を読んだら「社員はみんなおかしいと思っていた」「やりたくないのに怖くて逆らえなかった」と書かれていました。

日大の問題は、もしかしたらこのパターンだったのかもしれません。

ところが偽装をした会社の社長は、生粋の悪か?と言えばそうでもないそうです。
個人としては人柄もよく真面目な方だという話もあります。

真相は分かりませんが、もしかしたら彼なりの正義ゆえの決断だったのかもしれません。
「社員の生活を守る必要がある」「過剰な値引き要求が苦しかった」とか。
でも結果的に正しい判断ができなかったわけで、これが独裁の怖いところです。

「おかしい、変だ」と思っている社員がいたのに組織として正しい判断ができなかったわけです。
犯罪までは犯さずとも間違った意思決定をしてしまう危険性がどんな企業にもあると思います。

大義を持った村社会集団

大昔の武家社会の中に散見されるのですが、所属する集団のためなら他人を欺くことも厭わない集団主義社会です。

全員がおバカという一番怖い状態です。
彼らには「集団を守り維持する」という強烈な動機があります。
そして、それをする必要があると考えています。
なぜならば「大義」があるからです。

こうした風土ができるとトップですらそれに抗うことができなくなります。
そうならないために手を打つのがトップの仕事ですが、対策が遅れると「風土に自動操縦される」という非常に怖い事態に陥ります。

企業の不祥事にはこうしたケースが最も多いと考えています。

自由に発言できる風土が組織を賢くする

独裁状態にもメリットがあります。
それはトップに天才的な才能がある場合です。
ただし、ずっとトップが正解を示し続ける必要があります。
今の時代、難しいですよね?

集団主義にも利点があります。
環境変化が非常に緩やかな場合は、変なことをせずに集団を維持することだけを考えれば上手くいきます。
でも、そんな状況下に置かれている企業はないですよね?

今ほど「賢い集団づくり」が求められる時代はないと思います。

賢い集団に共通することは「自由に発言ができる」ということです。
自由にアイデアを出せる。
自由に反論ができる。

アイデアのオプションがテーブル上にたくさん集まりますので、より良質な意思決定ができるようになります。

特に反論者は賢い集団になるために欠かせない存在だと考えています。
反論者がいないと大多数の意見に流されたり、トップの意思決定に思考停止状態で従ってしまうことになりかねませんからね。

反論ができるためには「心理的安全性」が欠かせません。
発言により存在が脅かされるようでは「黙っていた方が利口」という判断をしてしまいます。

これは社員全員で共通認識を持つことが大切だと思います。
みんなが発言しやすい環境は、みんなに得なこと、みんなが望むものなので受け入れてくれると思います。

トップの心得はもっと重要です。
なんだかんだ言っても社員にとってトップは怖い存在です。

僕の友人でホワイト企業大賞で「学習する組織経営賞」を受賞した、大阪の株式会社たこ梅の岡田哲也社長は、「人事権を手放した」と言っていました。
人事的な制裁を受けない安心があることで議論が自由闊達になり、自律的に学習する組織が実現したのだと思います。

ここまで本気になれるのは、賢い集団になることが企業の未来を創るための最重要事項だと考えているからだと思います。

人の集団は賢くもなるしお馬鹿にもなる。

時々、風土をチェックする必要があると考えています。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!

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