企業には目標や緻密な計画を持ってはいけない時期がある

今、多くの企業がビジネスモデルの転換を迫られています。
成熟期に入り、単にモノを作って売る、仕入れて売るというビジネススタイルに限界が生じているからです。
よく「モノではなくコトを売る」と言いますが、本当にそういう時代だと実感しています。
ところがコトにフォーカスした商売は難易度が高いのも事実。
すごく抽象的な世界で、正解がないですよね?

そういう時代の経営は、これまでの常識から外れる必要があると考えています。
今日の記事は、その中でも「目標管理」という常識を捨てることについて考えたいと思います。

正解がない時代には目標を持たずに色々と試してみる

今は「正解のない時代」だと言います。
これは正解が無数にあると言い換えることができます。
その時に求められる能力はこれまでとは大きく変わります。
以前に、杉並区立和田中学校の、藤原和博校長が朝日新聞のインタビューで、これからの時代に求められる力について、分かりやすい解説をしていました。

これまではパズルを解くような力が求められてきました。パズルには「これが正解」という完成形の絵がありますよね?で、それに向かい効率よく組み立てる力を持った人が活躍します。
ところが、今はレゴを作る能力だと言います。
単一解がない、正解は無数にある中で創造性を働かせて最適解を導き出す能力です。

個々の社員にこうした力が求められる一方で、企業はその能力が開花する環境を整える必要があると考えるのです。
指示ゼロ経営はまさに、それを狙ったものですが、その中でも「目標も計画を持たずに動く」という方法があります。
計画通りにやれば上手く行く場合には良いのですが、何が正解か分からないフェーズでは「とにかく色々とやってみる」ことが有効だからです。
レゴを作る場合で言えば、色々と試しているうちに「あ、これ、何か良いかも?」と偶然的な発見をする事ってありますよね?
試行錯誤の中で出会う偶然を活かす方法です。
これって、目標と計画がしっかりしていたら見逃してしまいます。
持たないフローな状態だからできることだと思います。
これを専門用語で「エゴレスクリエーション」…無我の創造と言うそうです。

インスピレーションが降りてから目標と大まかな計画を立てれば良いと考えています。

偶然から世界一になった水族館

先日、まさに偶然から事業を復活させた水族館に行ってきました。
山形県鶴岡市にある加茂水族館、通称「クラゲ水族館」です。
1930年に開業した当初は普通の、どこにでもある水族館だったそうです。
それが年々入館者が減り続け、1971年に破産、民間に経営を譲りましたがそれも上手く行かず入館者ゼロなんて日もあったそうです。

クラゲを「海月」と表記する意味がわかりました

「偶然」が起きたのは1997年でした。
サンゴの水槽に偶然、クラゲが紛れ込み、それが素晴らしくキレイだったことから展示に繋げたところ入館者から好評を得ました。
そして勝負に出ます。
クラゲに特化した水族館に転身したのです。
しかし、最初のうちは認知度が低く、思ったように入館者は増えなかったそうです。
そこで、クラゲの食事会というぶっ飛んだ企画を立てたり、クラゲを使ったソフトクリームや羊羹などを開発したところマスコミに取材を受け、一気に知名度が上がり入館者が急増しました。

ここでなかったら絶対に買わないであろう商品たち

 クラゲソフトは意外と美味しかった

さらに最近ではフォトジェニック効果も手伝いSNSへの投稿が増え、世界でも類を見ない水族館へと成長しました。

加茂水族館の歴史を指示ゼロ経営的に分析すると、大変に面白いことが分かります。
まずは、現場に裁量があったことです。
上司に相談をしたら「クラゲを観て『キレイ〜』と言った後に食うんか?」と反対されたかもしれません(笑)

そして目標がなかった…と言うよりも何をどうしたら良いか分からないから、とにかく色々と試したことです。
これを「目標入館者数」なんて管理をしていたら無難で効果のないアイデアしか出なかったのではないでしょうか。

そして何よりも諦めなかったことだと思います。

自分たちが信じるものがお客様にとって良いことであれば、何をすればよいか分からなくても諦めずに色々と試してみることだと思います。
そこには明確な目標や計画は邪魔になると考えています。

クラゲ水族館は、水族館と言うよりも美術館と呼んだ方が相応しい、素晴らしい施設に昇華しました。

あなたの会社にもそんな可能性があると僕は信じています。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!

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