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組織はその性質上、前例踏襲にをする。自ら考える文化を醸成しよう

京都で行われた大相撲で市長が倒れ、その救護に入った女性に対し、行司が「女性は土俵から降りてください」とアナウンスをしたことが問題になっていますね。
この件に関し、尾木ママは自身のブログで「相撲協会の意識が古いだけでなく、的確な判断力がないことが深刻ではないでしょうか?」と述べています。

適切な判断ができなかった原因は思考停止にあると思います。
自分で考えずに「昔からそうだったから」という理由で判断したのだと。

これ、企業でも多いと思います。
今日は自律的に考える人と集団を育成する必要性と、その方法について考えたいと思います。

道理で考えれば分かることがマニュアルを優先して分からなくなる

変化が激しい時代では、現場がその時、その状況で自分で考え判断する習慣が必要なのは言うまでもありません。
多くの企業が社員にそれを求めるのは、それができない人が多いからに他ならないと思います。でも、それは社員に原因があるのではなく組織文化にあると思います。

その文化とは、人を仕事の支配下に置くというものです。
「業務と人を分離する」という発想で、誰がやっても同じ仕事ができるようにマニュアル化してきました。
これは組織が大きくなる上で必要なことだと思います。
例えば、部長は基本的に誰がやっても部長の仕事ができないと組織は安定しません。
そこで個々の実力や徳ではなく組織機能の中に役割能力を埋め込む方法を取りました。
すると人は自分の意見よりも組織のしきたりを優先するので思考停止が起きるわけです。

組織構造はトップダウンが一番安定しますのでますます思考停止に拍車がかかります。
かくして集団は、時代の変化に置いていかれるのだと思います。

こんな笑い話(実話?)があります。
ある会社でイベントがあり参加者のお弁当を手配したが、何かの手違いで注文が入っていなかったことが判明、慌てて近くの大手のハンバーガーチェーン店に行ったそうです。

「できるだけ早く、ハンバーガー100個お願いします!」
すると店員さんは…

店内でお召し上がりですか?お持ち帰りですか?

思考停止のお手本のような逸話ですね(笑)
この話の真偽は分かりませんが、これと似たような事は多いんじゃないかと思います。
道理で考えれば分かることがマニュアルを優先して分からなくなる。
考える事を最初から放棄している。

でもこれは本人の責任ではありません。
考えることを奪った会社の責任です。

自ら考え判断する習慣づくりを人材育成の軸に置く

思考停止が招く損失は今の時代、とても大きいと思います。
だから硬直化した組織では「自ら考え判断する」ということを最優先課題として取り組む必要があると考えます。
極端に言えば、1年や2年業績を落としても取り組む課題だと考えています。
それをせずして目先の利益を追ったら、数年後には大損をするからです。

例えば、数年前に岐阜にある未来工業株式会社さんに視察に行きました。
自由闊達でアイデアに満ち溢れた会社です。
特許の数は、当時はSONYよりも多かったと聞きます。

お邪魔して一番最初に思ったことは、創業者の故・山田昭男さんの存在感です。
僕はお顔を存じ上げていなかったので、廊下ですれ違ったときは近所のオジサンがフラッと入ってきたのかと思いました…(ごめんなさい)

社内を見学して目についたものが3つありました。
1つは「常に考える」という標語がいたるところに掲げてあることです。
「生産性向上」や「目標必達」ではない。
自ら考える文化をいかに大切にしていることが分かりますよね?

2つ目は「目安箱」です。
業務を改善、改良するアイデアを誰ものが提案でき、しかも提案者には例外なく500円が支給されるそうです。

提案するだけで500円がもらえればみんなやると思います。
これも、提案内容の質ではなく自ら考える習慣づくりが狙いなのだと思いました。

3つ目は、製造業なのにスタッフが私服で作業をしていたことです。
普通、地味な作業着を着ているでしょ?
案内役の方にお聞きしたら「業務に支障がなければ自由」とサラッと言っていましたが、1人1人が主体的に考える訓練になっているのだと思いました。

同社は電気設備のプラスチック部品を作っています。
その製品を見せてもらった時に、僕は思わず、失礼だとは思いながら山田さんに訊きました。

「僕にも作れそうな気がするのですが」と。
見た目は何の変哲もない普通のプラスチックの塊なんです。

でも、ここに真似ができない独自性があると言います。
その証拠に、国内シェアの約6割(だっと記憶しています)を誇る製品だということです。
これは日頃から「自ら考え判断する」という習慣の賜物なのだと感銘を受けました。

人も組織も安定を求める性質がありますから、ちょっと気を抜くと思考停止に陥り前例踏襲で意思決定をしてしまいます。

「常に考える」…自分で!

それにしても、土俵で倒れた市長の元に、自らの意志で心臓マッサージに駆けつけた女性はカッコよかったですね。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

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米澤 晋也

米澤 晋也

1971年長野県生まれ。有限会社共和堂代表取締役
指示・命令をしなくても自ら考え行動する社員を育て、社長が掲げるビジョンに向かい1つになる組織を創る方法論「指示ゼロ経営」の実践組織Tao&Knowledgeを主宰する。
1人1人が自由に行動し、創造性を発揮しながらも調和する、Jazzのジャムセッションのような組織です。
特に2代目、3代目経営者が自分の組織を創るための実務を得意としています。

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