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分業ではなく「ひと仕事」任せる方式が企業に活力を生む

仕事を任せる時は「ひと仕事」任せるのが良い、そう考えています。
ひと仕事とは、工程の一部分ではなく「丸ごと」のことです。
例えば、ベルトコンベアに配置され1つの部品を淡々と取り付けるのではなく、1つの製品を自分の手で作るやり方です。
 
その方が仕事に対する誇りが持てますよね。
その結果「モチベーションが上がる」「クオリティが上がる」「仕事の流れが良くなる」…様々な効果が出ると考えています。
 
今日の記事は、人間を機械のように扱うのではなく人間尊重の経営をしようという話です。

人間性重視が創造性を活性化させる

「ひと仕事任せる」というのは相手に対する信頼の証になります。
だから任されるのは嬉しい。
そういう経験ってありますよね?
逆に、ベルトコンベアの一部に立たされるのはすごく苦痛です。
機械に使われる感がハンパないですよね?
 
僕は高校生の時に漬物屋でバイトをしていました。
毎日毎日、漬物のパック作業だけをしていました。
社員全員が、ベルトコンベアの一部を担当していて、勤務時間中は同じ動作の繰り返しです。
自分がロボットになったような暗たんたる気持ちになりましたよ。
で、終業のミーティングでは上司から「今日の作業ミスによる廃棄は◯◯個でした。作業1つ1つに限りない改善努力をしなさい」って言われる…(泣)
今でも、その時のことを思い出しますが、そこに登場する人たちに表情はなくいつも下を向いて黙々と作業をしています。
今でも鮮明に覚えているのは、50代の男性社員が作業中に突然、「あ”ーーーー!」と叫んだことです。
 
僕はこの時に、将来働く時は人間的な仕事がしたいと思ったのです。
そして、経営者になった時に、その必要性も痛感しました。
 
確かにベルトコンベアで管理すると、モノをたくさん作ることができると思います。
それだけを考えると効率的に思えるのですが、長期的には非効率なんだよね。
1、組織から創造性が奪われる
2、離職率が高くなる
3、実は、生産性が悪い
 
モノをたくさん作って売れた時代は生産効率が最大の命題だったと思いますが、今は違うと思います。
そもそも生活者が欲しいと思う「ちょっと視点が違う」商品・サービスの開発が求められますよね。
創造性が求められるし、それこそが人間の専売特許。
だから職場に、人間らしさが確保される雰囲気が必須だと考えるのです。
 
例えば、ソニーの黄金期を作った、小林茂さんは厚木工場の生産ラインでこの方式をとりました。(参考文献:第三の組織論)
「ワンマン・プロダクション」と言って、1人の社員が1つの製品を「丸ごと」作るやり方ね。「これはAさんが作ったテレビ」となる。
この方式で、不良品の発生率が下がり、検品のコストが大幅に下がったそうです。
そして何よりも、働く人が仕事に誇りを持つようになったそうです。
そうした職場の雰囲気がソニーの「尖った製品」を生み出す土壌だったのだと思います。

人間性重視の経営は創造性を発揮する

弊社では先代の時代に「ワンマン・プロダクション方式」に変えました。
新聞配達の現場です。
新聞を配るまでの工程は、「新聞にチラシを入れる」→「配達順に銘柄を合わせる」(1軒目は朝日、2軒目は読売、って具合に)→「配る」
シンプルですよね?
 
以前は「チラシ入れ」「合わせ」「配達」を分業していました。
それがある日、チラシ入れのパートさんが一度に何人も辞めてしまったのです。
困った末に、ワンマン・プロダクションの導入を決断しました。
困ったからそうしたというだけの理由だったそうですが、これが功を奏しました。
 
「全部1人でやる」
新聞配達のような単純作業でもこの方式は効果があると実感しています。
 
分業ではなく「ひと仕事」丸ごと任せる
 
目に見える成果はミスが減ったことです。
配り忘れと違う銘柄を配ってしまうミスがい多いのですが、それが劇的に減りました。
お客様からの信頼も高まるし、誤配があった時のために待機する必要もなくなりました。
その分、別の仕事ができるよね?
 
それと、これが最大の効果だと思いますが、スタッフが人間っぽくなったと感じています。
これまではロボットの様に無表情で、おはようの挨拶もなく黙って出社して淡々と作業をして配達に出ていたのですが、とても表情が豊かになり会話も増えました。
 
そして、その文化が定着すると僕も「そうきたか!」というような仕事を自ら開発し出したのです。
例えば、独居老人宅で前日の新聞が抜かれていない時に安否確認をしたり、朝早く農作業をしている方に声がけをしたり、配達先のお宅のクルマの車内灯がつけっぱなしになっていると、新聞と一緒にそれを知らせるメモを入れたり…
 
「人に喜ばれることを自らの意志で決め、行動する」
これが人間的な仕事だと思います。
 
お客様から直接、感謝の手紙が来るようになった
 
自分で開発した仕事でお客様や仲間から感謝される「喜ばれる悦び」は、それ自体に人を成長させるエネルギーがあると思います。
さらに、そういうスタッフが一定割合を超えると、こうした活動が他のスタッフに伝染していきます。
 
やむを得ず始めたワンマン・プロダクションでしたけどね(笑)
 
事務でも営業でも製造でも、ワンマン・プロダクションの考え方は工夫次第で導入できると考えます。
 
社員は機械ではない、感情と創造性を備えた人間です。
人間性尊重の経営の時代だと考えています。
 
それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい!
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米澤 晋也

米澤 晋也

1971年長野県生まれ。有限会社共和堂代表取締役
指示・命令をしなくても自ら考え行動する社員を育て、社長が掲げるビジョンに向かい1つになる組織を創る方法論「指示ゼロ経営」の実践組織Tao&Knowledgeを主宰する。
1人1人が自由に行動し、創造性を発揮しながらも調和する、Jazzのジャムセッションのような組織です。
特に2代目、3代目経営者が自分の組織を創るための実務を得意としています。

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