「製造部」「営業部」「エリア制」といった組織形態は今後、効力を失う

企業の組織形態が時代に合わなくなっていると感じています。
典型的なのはメーカーの「製造部」「営業部」
新聞業界では「編集部」「販売部」って言うんだけどね。

なぜそれが時代に合わなくなっているかというと「作って、売る」というのは一昔前の「大量生産、大量消費」の時代の時代につくられた組織だから。

モノがない市場に効率よくモノを流すことが命題だった時代はこれが有効でしたが、今は違います。
売れなくなると、製造の人間は「こんなに良いものを作ったのに売れないのは営業のせい」と言うし、営業は「こんなに頑張っているのに売れないのは、製造が良いものをつくらないから」という不毛な組織内紛争(笑)が起こります。

時代に合った組織形態に変えなきゃいけない、そう考えています。

商品・サービスではなく、お客様を軸にした組織にする

今日のテーマを実感したのは、ほんの偶然でした。
僕の会社では「新聞を仕入れて、売る」という昔ながらの業態から転換することにがんばってきました。
お客様が欲しいものは新聞というモノではなく、新聞がある豊かな生活だと知ったからです。

じゃあ、どんな豊かさが欲しいのかと考えたところ、多くのお客様が「自分の地元をもっとよくしたい」と考えていることが分かりました。
遠い世界で起きていることよりも自分の半径10キロ以内で起きていることに関心があるのです。
で、偶然が起こりました。
ウチのスタッフの伊藤優と宮原陽子が、行政からの依頼で町内17地区で、地域づくりのワークショップを行いました。
「地域の課題は地域で解決しよう」という考え方でアイデアを出し合いました。

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そこに地元の新聞社が数社、取材に来てくれたんですね。
その記事を多くの人が読んでくれて、「面白いことをやったね」と声をかけてくれました。
そして、「今回のワークショップが、今後どの様に開花するか楽しみだね」とも。

ここなんです、僕が気付いた新しい組織形態は。
これまでは、誰かよく知らない記者が書いた新聞がトラックで運ばれてきて、それを僕たちが売っていました。
記者からしても、自分が書いた記事を誰が売っているか知りませんでした。
もっと言えば、誰が読んでくれているかもよく分からない。
絆がないってことです。

この取組での関係性は従来とは違ったのです。
「お客様が地元で起きていること、これから起きることを知れるように、それぞれの立場がコラボした」

初めて仲間になったような気がしました。
今では、地域づくりのイベントに、記者さんがプライベートで参加してくれるようになりました。(プライベートってことは、組織がそれに許可を出さないってことですが…)

これからの組織は、商品・サービスを主体にしたものではなく、お客様を中心に様々な部門がコラボする形態になると考えています。

お客様を軸にした組織の方が高質なサービスを提供できる

販売を主体にした会社の場合「エリア制」が一般的ですよね?
営業マンが自分のエリアを持ち、そこで活動をするスタイルです。
それも時代に合っていません。

エリア制も成長期の組織形態です。
効率よく市場にモノを流すにのに適した形態です。

成熟社会では、「何を買うか」より「誰から買うか」を重視する生活者が多くいます。
社員もそれぞれ違った芸を持っています。

高齢者の気持ちが分かる社員
教育の関心のある社員
地域に関心のある社員
スポーツだったら超詳しい社員

その芸にお客様がつくのだからエリア制がマイナスに作用します。

「◯◯社員のファンのお客様群」
そんな組織形態にした方がいい。

件の新聞記者の場合もエリア制になっていますが、それを専門カテゴリーに分けることもできるはずです。
「地域活性化に関心のあるお客様担当」
「教育の関心の高いお客様担当」

そんな具合で組織を再編成する時代じゃないかと思います。

地域や商品・サービス、作る、売るといった、自社都合で組織を編成するのではなく「◯◯に関心のあるお客様」を基軸に編成する組織の方が高質なサービスを提供できると考えています。

徐々に変えるか、ウチみたいに一気に変えるか…

いずれにせよ、いつかはやらなきゃいけない時が来ると思います。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!