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社員の自律性が高まる環境づくりに必要な2つの要件

事業の目的と、選択の自由が自発性を育てる

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人は、「快」を求め「不快」を避ける。
これは間違いのない事実です。
だから、信賞必罰に基づいたマネジメントが開発されたわけです。
成果主義に代表される、アメとムチを使い分けることで社員のモチベーションをコントロールする、科学的な管理法は、100年以上もの間、企業の現場で採用され、大きな成果を上げてきました。

しかし、時代が大きく変わる中でその限界が露呈しています。

今日は、その限界と新しいモチベーションの仕組みについて考えてみたいと思います。

アメとムチの使い分けは自発性を破壊させる

今から40年も前、米、ロチェスター大学のエドワード・L・デシが行った実験で、アメとムチの使い分けで人の自発性が破壊されることが分かっています。

簡単に説明するとこんな感じ。
被験者を2つのグループに分け「ソーマキューブ」というパズルに挑戦してもらいました。
1つのグループには問題が解けたら報酬を支払うと伝えました。
一方のグループには報酬はありません。

実験の終了直前に、実験者(この実験を企画した人)が「ちょっと出かけるけど、部屋から出なければ何をしても良いよ」と伝え退出しました。
観察の結果、報酬をもらったグループの多くの人は雑誌を読んだり遊んだりしていましたが、報酬なしのグループでは、その間も熱心に課題に取り組んだそうです。

この実験から分かることは、外発的な報酬で人を釣ると、内発的な意欲が破壊されてしまうということです。
さらに、内発的動機付けは創造性発動の大きな要因ですので、クリエイティブな仕事ができなくなってしまうという弊害も出るのです。

ただし単純作業の場合は有効です。
ソーマキューブのように創造性が要る作業の場合は内発的な意欲が重要になりますが、単純作業の場合はアメとムチの使い分けで十分な効果が出ることが分かっています。

ここで考えなければならないのは、今の時代、単純作業の比率が下がり、創造性を要する仕事が増えているという事です。
それは、モノを生産して流通させるという効率重視の経営から、おもてなしに代表される知恵と創造性に依存する仕事にシフトせざるを得ない時代になったということです。
つまり、企業は従来のアメとムチの使い分けに替わる、新しい、内発的モチベーションが発動する環境を創ることが求められているのです。

自発性が発揮される環境づくりに必要な2つの要件

1、ビジネスの目的が顧客の喜びになっている

成熟社会に働くビジネスパーソンの満足は単にお金を稼ぐだけでは満たされません。
自分の「個」が歓迎され必要とされること。
さらに個を活かし、お客様や社内の仲間に喜ばれる実感です。
それは人間の持つ本質と言ってもいいでしょう。

事業が、建前ではなく、本当にお客様の幸せを創造するものである場合、それだけで社員の自律性は促進されます。
自分の仕事が、お客様の幸せに貢献しているという実感、あるいは貢献できるという予感は、社員の自律性を強力に支援します。

2、選択の自由がある

創造性は人にコントロールされず、自分で意義があると認めた行為を、自分で意思決定しないと発揮されません。
企業の中には様々な意思決定がありますが、どれだけ現場に移譲できるかが自発性のカギを握ります。
企業の意思決定には、「何を?」「誰が?」「どのように?」「誰と?」「いつ(までに)?」「どんな出来映えで?」「いくらで?」の要素がありますが、これらの中で1つでも多くをスタッフが決められるようにすることです。
当然、任すに足る人材でないと任せられませんが、丁寧に育成した後は、信頼して任せてることが大切です。

まとめ

アメとムチの使い分けで動かす方法は、単純作業の場合には有効ですが複雑で創造性の要る仕事にはマイナスになります。
成熟社会における主たる業務は、非常にクリエイティブを要するものになってきています。
なのでアメとムチに変わるモチベーションシステムが必要になります。
そのためには、事業の目的が真にお客様の喜びを創造するものであること、そして社員に意思決定の権限が委譲されていることです。

 

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米澤 晋也

米澤 晋也

1971年長野県生まれ。有限会社共和堂代表取締役
指示・命令をしなくても自ら考え行動する社員を育て、社長が掲げるビジョンに向かい1つになる組織を創る方法論「指示ゼロ経営」の実践組織Tao&Knowledgeを主宰する。
1人1人が自由に行動し、創造性を発揮しながらも調和する、Jazzのジャムセッションのような組織です。
特に2代目、3代目経営者が自分の組織を創るための実務を得意としています。

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