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社長が掲げるビジョンに向かい自発的に行動する組織を創る

僕は3代目社長で、約20年前に父が急逝したために、ある日突然、社員数約50名の企業を継ぎました。
24歳の時です。
その時の弊社は企業の体をなしておらず、なおかつ業界が成熟期を迎え本格的な右肩下がりの状況。
すぐにでも手を打たねば…
でも、社員からの信頼もないし、社員の意識も実力も決して高くはありませんでした。

「いちいち指示しないと働かない」
「管理しないとサボる」
「チャレンジ精神に欠ける」
「会議で発言をしない」
「陰で不満を言っている」

ハッパをかけても全く動かない…
「会社を盛り上げようとしているのに、どうして僕の気持ちが伝わらないんだろう」
新入社員を採用しようにも、新聞店で働きたい人なんて皆無に等しく、優秀な人材どころか、問い合わせも来ない状況でした。
2代目、3代目って先代の社員を抱え、そういう悩みから経営者人生がスタートすることが多いと思います。
僕もそうでした。

もがき苦しみ、様々な勉強と実践を重ね、たどり着いたのが「指示ゼロ経営」でした。
今日は、その概要を書きますね。

指示待ち社員が、自ら考え動く社員に生まれ変わる

指示ゼロ経営とは、その名の通り「指示なくして社員が動く」ことです。
しかも、その神髄は社長のビジョン実現のために社員が自発的に動くことにあります。
社長がそれぞれの「個性」を尊重し、育む。すると指示なくして自分で決め、考え、判断し、クリエイティブに行動しはじめる。
さらに個性を思う存分発揮しながら、全体とつながり調和する組織ができあがるのです。

指示ゼロ経営が軌道に乗ったことで弊社では、社員が自ら会議を開き、すばらしいアイデアを次々と生み出しています。
「社長、なんとかして下さい」という依存は全くありません。
もちろん会社の業績も増収増益です。

イメージ的にはJAZZのライブ…ジャムセッションです。
プレーヤー1人1人が自分の個性を存分に発揮して、アドリブで自由に演奏するのに全体が調和する、そんなイメージです。
指示ゼロ経営のノウハウは様々な企業や各種団体に活用され、大きな成果を上げています。

そのような組織に進化する要点は大きく分けて2つあります。
1つは、社員が自らの意志で決め、考え、判断し、行動する環境づくりです
もう1つは、自らの意志で動く社員がバラバラにならずに、社長が掲げるビジョンに向かい一致団結する組織をつくることです。

チャレンジ意欲をかき立てる、魅力的なビジョンを共有する

要するに「自発性」ということですが、指示ゼロ経営では、そもそも人は生来的に自発的で積極的であることを信頼しています。
人は、自分で意義があると考え、楽しいことであれば大変であっても指示されなくても自発的になります。
そう、実は社員の意識を変える前に、ビジネス自体をそのようなものに変革することが大切なのです。

では、「意義のあること」ってどんなものでしょうか?
それが時代とともに変わってきています。
現代は成熟社会でみんなある程度豊かな生活を送っていますよね?
そういう環境では物質的な豊かさに加え、精神的な満足(悦び)を求めるようになります。例えば、裁量を与えられ自分の個性を活かすことでお客様や社内の仲間に喜ばれることであったり、自己成長の実感といったものです。
そして何よりも、自社のビジネス自体が人をハッピーにし、社会を良くするという誇りです。
そのような動機で働く人には、報酬で釣ることはあまり効果がありません。

というよりも、アメとムチの使い分けで人をコントロールすると、自発性と創造性が破壊されることが数々の研究で明らかになっています。
それは、目先の利益や脅威に意識が奪われ、思考が短絡になり視野が狭くなるからです。
さらに、自分の生命線である主人の顔色をいつも伺うようになり依存を生むんですね。

詳しくはこちらを。
http://www.shijizero.jp/archives/1035

現代のビジネスは非常に創造性が求められます。

問題発生に対する自発的な解決や、「おもてなし」に代表される、マニュアルを超えたサービスを個々のスタッフが各現場で自ら創造しなければならない時代です。
だから、ビジネスの目的を単なるお金儲けから、より社会的に意義のあるものに変え、社員が「是非、その実現に向けてひとはだ脱ぎたい」と主体的に取り組みたくなるものにしていかなければならないのです。

主体性があり十分なスキルを身につけた社員であれば、経営者も権限委譲ができますよね?

「『個育て」で自ら考え、行動する社員を育てる」

とは言っても、多くの経営者が社員に任せることに躊躇します。
社長の本音として絶対にあるのが「自分が許容する範囲内で、個を自由に発揮して欲しい」というものです。
最終責任者ですからそれは当然のことですよね。
制約の中での自由ですが、それは社長の限界が可能性の限界となりますよね。
許容範囲が広ければ、その分、社員は自由になれるのですが、ここに2つの課題が存在します。

1つは、社長の感情の問題です。
人はコントロール願望を持っています。僕にも相当なものがありますよ。
「社長は社員に任せる寛大さを持つべきだ」なんて言われますが、口で言うのは簡単ですが、ここが一番難しいのです。
大げさな表現ではなく、死生観、人生観に関わる問題なので、覚えればマスターできるものではありません。
よく生命の危機を経験した社長が、その後に寛大になったという話を聞きますが、生命という一番手放せないものの危機を体験したことで所有意識が薄れたと言われています。

(僕にはそんな経験がないので、あくまでも聞いた話ですが)

いずれにせよ、この課題が一番大きいと思います。
僕なんて、かなり小さいですよ(笑)

もう1つは、「自由と好き勝手の区別」です。
個を発揮するには、「選択の自由」が認められていることが重要ですが、「自由と好き勝手」の分別が必要です。
それが出来なければ、それは好き勝手に陥り、結局、誰かに管理されることを甘受しなければなりませんよね?
「自由、平等、博愛」と言いますが、これだけではダメになります。
「自由には責任」「平等には区別」「博愛には罰」という、対になる概念と合わせて運営しないといけない。
自由と好き勝手の区別を、トップではなく社員が自ら考えるのが指示ゼロ経営の基本です。

「そんなことをしたら、各自の定義で統一が出来なくなる」と言われることが多いのですが、トップだって分からないのです。
絶対的な定義があるわけじゃなく、だから永遠のテーマなのです。
行動しながら微調整していくのが現実です。
そして、それが出来上がれば、それは「風土」になります。

例えば、以前に弊社の若い女性社員が、「私、午前中はパン屋さんで働いて、午後から夜までウチの仕事をしたい」と提案(?)したことがありました(笑)

「何言ってんだ?コイツは…」と思いましたが、「好き勝手にならなければ良いんじゃない?」と答えました。

その非常識な提案(?)だって、プラス面があるはずです。

もちろんマイナス面だってある。
その両面をしっかりと考えて、プラス面が活き、マイナス面が解消される「第3の解」があれば、それはブレークスルーを起こす、画期的な発案になります。
個が発揮される瞬間です。

「自らの意志で動く社員がバラバラにならずに、社長が掲げるビジョンに向かい一致団結する組織をつくる」

自ら考え行動する社員たちがバラバラにならずに調和するためには、当然ながら共通のビジョンが必要になります。
さらに、ビジョン達成のためにすべきこと(全社計画)を全員が理解している必要があります。
しかしながら、これらを組織の上層部が決め、トップダウンで下ろしても真の主体性は生まれず、所詮「他人事」「やらされ」に陥ります。

「自分事」にするためには、リーダーがビジョンや思いを伝えたら、その後、社員も自分の思いを伝え「思いの共有」にを行う仕組みが必要になります。
自ら参画したものに対しては、責任と主体性が生まれ自分事になります。
そして、ビジネスモデルの全容を小学生が見ても分かる図にして、それをもとに全員参加でやるべきことを決めていくのです。

繁栄の設計図

 

自由な雰囲気の中でワイワイガヤガヤと創発することで優れたアイデアが生まれ、社員はビジョン実現の可能性を感じワクワクします。

さらに全体が俯瞰できる事で、自分の責任領域が誰が見てもハッキリするとともに、仲間の役割も理解できるので、「自分ががんばらねば、さりとて自分だけじゃダメ」という認識が生まれ、誇りと責任、そして調和が生まれ、社員同士励ましたり叱咤し合うようになります。

「古参社員が、新入社員のお手本になる」

多くの2代目、3代目経営者の悩みに「古参社員が自分についてこない」というものがあります。
また、新しく採用した社員が古参社員に悪影響を受けるという悩みもよく聞きます。
指示ゼロ経営の中には、採用から育成に古参社員に関わってもらうことで、育成責任を持ってもらえるような実務も含まれます。
ある程度時間はかかりますが、数年後には見違えるように闊達な組織に進化することが可能です。

当ブログでは、闊達な組織を創るための9つの実務を事例を交えてご紹介します。

指示ゼロ経営9つの実務

1、ビジョンデザイニング 「自発的に動け」と指示を出しても無駄。自発的に動きたくなる環境をつくる。

2、自己決定理論(SDT)
社長ばかりが張り切っている「笛吹けど踊らず状態」から脱却する。「木も見て森も見る」ス タッフひとりひとりが会社全体に関心を持つには?自分でヤルと決めた目標を達成する「目標自 己管理シート」の導入法。

3、安全な導入ステップ 自立心が育っていない社員に任せると危険。安全な導入のための2つの具体策。

4、実践知の共有
「おもてなし」などの高度な仕事が組織に浸透する仕組みをつくる。社員同士が励まし合い、叱咤し、自律的に成長するチームをつくる実務。

5、社長や正社員から雑務を解放する有効な方法
作業に追われていると創造的な仕事はできない。少数精鋭の社員と多数のパートという組織をつくる。社員が自ら雑務を減らすために「職務拡大目標」を設定する。

6、採用
自立したヤル気のあるスタッフを集めるために求人広告に書くべきこと、書いてはいけない事。新入社員が古参社員に悪影響を受けないように育てる。古参社員を味方につける方法。

7、公正な賃金ルール
業績に関係なく人件費ばかりがかさむ仕組みから脱却する。労働分配率は低く、社員一人当たりの賃金が高い構造をつくる。社員が自社の業績に関心を持ち、健全な危機感を持てる賃金制度を構築する。

8、指示ゼロ経営的コミュニケーション術 「褒めて伸ばす」は間違い。褒めない替わりに社長がすべきコミュニケーションとは。

9、顧客を自社の応援団にする
顧客や地域の人たちに「ひと肌効果」が伝染し、多くのサポーターに支えられる強い経営体に進化する。

基本的に毎日更新しますから、暇な時に読んで下さいね!

僕が指示ゼロ経営を導入して、一番嬉しかった事…

それは業績向上はもちろんですが、社員が自分の個性を発揮し成果を上げ、「自分ってイケてるじゃん!」と自己肯定感が高まったことです。
ある女性社員は、元地方公務員でした。
高齢者福祉や地域づくりに関心があり選んだ道でしたが、前例踏襲の文化の中では本領を発揮する機会が限定されていました。
そんな中、弊社に入社し、今では地域づくりの拠点として、行政と組んで新たなビジネスを開発しています。

僕は思います。
人には、その人にしかできないことがあって、それをするために生まれてきたのだと。
その人が輝いて必要とされて「ありがとう あなたに出会えてよかった」そう言われた時に人生が開花するのだと思います。
それが指示ゼロ経営の原点、僕が一番大切にしている思いです。
多くの人が自分だけの道を発見しそれを生きる
「社会の中に居場所を創る」

そのために指示ゼロ経営の実践集団「Tao and Knowlege」があります。

あ、一応秘密結社です(笑)

是非、一緒に学んで、真の豊かさを手にしましょう!

誰も縛らない、誰にも縛られないあなたが大好きです!

 

 

まとめ

現代のビジネスは非常に創造性が求められます。創造性はアメとムチの使い分けでコントロールすると破壊されてしまいます。
創造性と自発性は、純粋に挑戦したいと思った時に発揮されます。
そんな難しい時代に先代から事業を継承した多くの後継社長が組織改革に悩んでいます。
これらを先代の古参社員を巻き込みながら行うのですから大変な仕事ですよね?
でも、それを乗り越えた時には、自由かつ闊達な強い組織が出来上がります。

自社のビジネスを、それ自体が魅力的で挑戦意欲をかき立てる、意義の深いものにすること、そして、社長が掲げるビジョンをトップダウンではなく、社員1人1人が主体的に参画する計画立案の仕組みを構築すれば、燃えるように仕事を楽しみ、高い成果を上げる組織に進化させる事ができます。

 

 

 

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米澤 晋也

米澤 晋也

1971年長野県生まれ。有限会社共和堂代表取締役
指示・命令をしなくても自ら考え行動する社員を育て、社長が掲げるビジョンに向かい1つになる組織を創る方法論「指示ゼロ経営」の実践組織Tao&Knowledgeを主宰する。
1人1人が自由に行動し、創造性を発揮しながらも調和する、Jazzのジャムセッションのような組織です。
特に2代目、3代目経営者が自分の組織を創るための実務を得意としています。

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